累風庵閑日録

本と日常の徒然

2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『絞首人の一ダース』 D・アリグザンダー 論創社

●『絞首人の一ダース』 D・アリグザンダー 論創社 読了。 いきなり別の話から始めるが、落語の人情咄が嫌いだ。興味がないのではない。じっとりと湿った内容が嫌いなのだ。ついでに書くと、時代小説の市井ものも嫌いだ。よくあるパターンは、過酷な運命に翻…

怪盗ニック全仕事

●今日は某美術館に漆器の展示会を観に行くつもりだったが、電車に乗って街に出てからふと気が変わって、やめにした。街を歩いて書店を覗き、本を買う。『怪盗ニック全仕事I』 E・D・ホック 創元推理文庫『シャーロック・ホームズの蒐集』 北原尚彦 東京創…

『岡田鯱彦名作選』 河出文庫

●中断していた『岡田鯱彦名作選』 河出文庫 を読了。 岡田鯱彦って、こんなに面白かったのか。収録作の多くが五十ページ以上の作品で、内容もきちんと書かれており、読み応えがある。犯人探しタイプのミステリは、ある程度長い方が楽しめる。「石を投げる男…

『迷路荘の惨劇』 横溝正史 角川文庫

●『迷路荘の惨劇』 横溝正史 角川文庫 読了。 短編版、中編版、長編版と読み比べをやってよかった。中編版まで残っていた不満点が解消されているし、中編版よりもさらに真相を暗示しにくい状況に仕立てられている。 解決部分の書き込みもきめ細かくなってい…

妖魔の横笛

●お願いしていた私家版の本が、二個所から一冊ずつ届いた。『妖魔の横笛』 鷲尾三郎 盛林堂ミステリアス文庫『月光殺人事件』 V・ウヰリアムス 湘南探偵倶楽部後者は日本公論社版の復刻である。ネットが発達したおかげで、こういう私家版が入手し易くなって…

金田一耕助学会

●イベント二日目は「金田一耕助学会」である。去年そのレベルの高さにびっくりしたが、今年もまた実に興味深い内容が続き、素晴らしい。こういうのを聴いていると、ようし俺もいっちょやったるか、と意欲が湧いてくると同時に、こりゃかなわんなあ、とも思う…

文学フリマ

●夜中に何度か意識が戻ると、その度に列車が止まっている。これは大方何かのトラブルで、遅れが発生しているな。と思ったけれど、別に急ぐ用事はないのでありのままに事態を受け止めることにする。 東京着の一時間前に設定しておいたアラームが鳴ったので起…

千金

●今日から三日間の旅程で岡山に行く。倉敷市で開催される「1000人の金田一耕助」、通称「千金」というイベントに参加するのだ。三連休初日のせいか、東京駅も新幹線もやけに混んでいる。なにしろ、新幹線の指定席を乗車一ヶ月前の発売開始当日に買いに行…

命の方が大事

●延期を重ねていた飲み会を本日決行。前の職場の飲み仲間とのサシ飲みである。以前から仕事に対する不満を漏らしていた彼、ついに退職を決意したという。すでに部長にまで話が伝わり、正式な書類手続きが進んでいるそうな。話を聞くとかなり無茶な職場環境だ…

『迷路荘の怪人』 横溝正史 東京文藝社

●『迷路荘の怪人』 横溝正史 東京文藝社 読了。 原型版とくらべて描写が細かくなり、展開が丁寧になっている。真相もこっちの方が、某登場人物の心情がよく表れていて、凄味が増している。真相解明の場面も大幅に書き込みが増え、関係者の行動がずいぶん明確…

死の谷を越えて

●畠山記念館に「大名茶人 松平不昧の数寄」という展示会を観に行ってきた。松江藩第七代当主にして茶人の松平不昧が蒐集した、茶道具その他美術品の展示である。国宝の手箱と墨跡を筆頭に、重要文化財の茶碗や茶入、その他茶道具の逸品が展示されている。 重…

『金田一耕助の帰還』 横溝正史 光文社文庫

●しばらく前から、読書に向かう集中力の衰えを感じている。一冊の本を一気に通読するのがしんどい時があるのだ。長編なら一気に読むしかないし、アンソロジーなんかだと収録作がバラエティに富んでいるから、最後まで読める。いけないのが個人短編集で、読ん…

踏み止まる

●半月ほどサボっていたジム通いを再開してすぐに、体調を崩して寝込んでしまったのは今月初旬の話だ。タイミング悪くスタートでずっこけてモチベーションがなくなり、再びずるずるとサボリの流れに身を任せてしまいそうになるのをどうにか一週間で踏み止まっ…

飲む

●午前中は野暮用。午後は河出文庫の岡田鯱彦を少し読む。 ●晩の肴は煮物。具材は根菜類と、蒟蒻、椎茸、薩摩揚げ、そしてふと思いついた蛸。三時頃から取り掛かり、途中いったん冷まして味を染ませたりしながら、ゆっくり作る。砂糖も醤油も目分量で使ったの…

『居酒屋の誕生』 飯野亮一 ちくま学芸文庫

●某書肆から刊行される鷲尾三郎を予約した。 ●『居酒屋の誕生』 飯野亮一 ちくま学芸文庫 読了。 江戸の呑みだおれ文化、という副題が付いている。酒屋とも煮売屋とも異なる居酒屋という業態は、十八世紀中頃に現れる。発生当初は酒屋の副業といった位置付け…

歌川国貞

●原宿の太田記念美術館に、歌川国貞の展示会を観に行ってきた。ちょっと凄かったのが最晩年の作で、なんらかの事情で刊行されなかった画集の下絵。人工的に完成され洗練された浮世絵であっても、実際は生身の人間が手を動かして絵を描いている。当たり前であ…

『マンアライヴ』 G・K・チェスタトン 論創社

●『マンアライヴ』 G・K・チェスタトン 論創社 読了。 訳文の質の心細さで有名な本である。それを知っていたので最初から、逐語的に文章を味わうような読み方を放棄して、書いてある意味をざっくりとつかみ取るような読み方に努めた。 前半、情景を描写す…

立て立て、這え這え

●お願いしていた私家版の冊子が届いた。『立て立て、這え這え』 島久平 復刻叢書『お先へごめん』 島久平 復刻叢書●別の私家版冊子の案内をいただいている。こちらも今月中に刊行予定。注文したので、代金を振り込まなければならない。

『「黒猫」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●一晩ぐっすり寝ると体調はだいぶ回復した。だがまだ用心して、朝飯はお粥にする。玉子粥が優しい味で、旨くて嬉しい。それはいいのだが、煮ている最中に鍋がでろんでろんに吹きこぼれて、ガスコンロの受け皿部分が糊状の池になっていた。体を労わるつもりが…

読めない

●体調が悪く、終日寝たり起きたりで安静に過ごす。起きている間はネットをだらだら眺めるだけ。本を読む気にもならず。

寝る

●体調が悪いので晩飯抜きで、本も読まずにもう寝る。でも某書肆から刊行される橘外男の予約だけはした。●ついうかうかと半月ジムをサボってしまったのを、昨日再開したと思ったらこの体たらく。

エクスペンダブルズ3

●『エクスペンダブルズ3』を観てきた。アクションのカット割りが細かすぎて何をやっているのかよくわからないシーンがちょいちょいあった。それに、せっかくジェット・リーが出るのに全然格闘しとらんやんけ。などというのは些細な不満点で、全体的にはめち…

『自分を殺した男』 J・シモンズ 論創社

●『自分を殺した男』 J・シモンズ 論創社 読了。 ユーモアの味付けをしたサスペンスで、これといった特異な展開はない。殺意が醸成され、殺人が計画され、その後の顛末が描かれる流れが型通りである。主人公の男の造形もある種典型的で、可笑し味を伴う情け…

市民まつり

●今日は住んでいる街の市民まつりのようなイベントが開催されている。市内二カ所の会場をちょいと覗いてみたが、特にどうということもない。さっさと帰宅して、レンタルしていたDVDの『武器人間』を観る。これは酷いグロバカ映画で、大変面白い。そのあと…

霧に包まれた骸

●埼玉県は川越市のとある寺で、居合道の奉納演武があるというので観に行ってみた。武道の演武ってえのを初めて観るけど、ううん、どうも鑑賞の仕方がよく分からない。二時間半のプログラムを四十分ほど観て、もういいやという気分になったので立ち去る。 ●せ…

『停まった足音』 A・フィールディング 論創社

●渋谷区立松涛美術館に、「御法に守られし醍醐寺」という展示会を観に行ってきた。会の目玉は国宝である「過去現在絵因果経」という絵巻で、釈迦の生涯を描いた奈良時代八世紀の作品である。その画風は、なんというかあまりに素朴。そこいらのちょっと絵心の…