累風庵閑日録

本と日常の徒然

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ようやく読めた

●今月の総括。買った本:十二冊読んだ本:十冊分かっていたことだが、今月は買い過ぎた。読む方は、年初から読もう読もうと思っていた『吸血鬼ドラキュラ』を、ようやく読めたのが満足。

豊島区立図書館

●とある探求中の資料が、豊島区立図書館に所蔵されていることが分かった。その旨某氏に教えていただいたのである。ありがたいことでございます。 そこで図書館のサイトを観てみると、・区民でなくても利用者登録は可能・件の資料を所蔵している中央図書館は…

チェスプレイヤーの密室

●hontoに注文していた本が届いた。『藤井礼子探偵小説選』 論創社『チェスプレイヤーの密室』 E・クイーン 原書房後者の巻末解説をパラパラ読むと、『エラリー・クイーンの世界』の増補改訂版に翻訳出版の予定があるという。楽しみな情報である。

終日DVD

●今日は終日部屋にこもって、レンタルDVDを観る。丸一日で、三本とちょっと観た。ちょっとというのは、最初の一本があまりにもつまらなくて、三十分で止めたから。三本の内訳は、CGが安くて失笑ものだけどアクションのキレだけでどうにか最後まで観れた…

『消える虚無僧』 横溝正史 功文社

●『消える虚無僧』 横溝正史 功文社 読了。 「横溝正史の『朝顔金太捕物帳』をちゃんと読む」プロジェクト。今回は第十一話「お時計献上」を読む。これで、全五編収録の功文社版を読み終えた。 将軍様への献上品を巡る、時計職人同士の軋轢。そしてなんと密…

『メリリーの痕跡』 H・ブリーン 論創社

●『メリリーの痕跡』 H・ブリーン 論創社 読了。 オープニングの都会の風景とメインの船旅の様子が、シャレオツで優雅。その手のミステリの典型的な味わいである。主要登場人物以外の乗船客の描写が薄くて「その他大勢」になってしまっているのと、真相の意…

図書館

●市立図書館に立ち寄る。このところ自分の中で横溝熱が高まっているので、この勢いが弱まらないうちに出版芸術社の横溝正史自選集を借りようと思う。本文はさておき付録の諸資料に、この際きちんと目を通しておきたい。 とはいうものの、現在住んでいる市の…

『招かれざる客』 C・オズボーン 講談社文庫

●今回の北海道横溝文献探索行は、実に楽しく有意義な旅行であった。一日かけて北海道に移動し、丸一日図書館にこもり、一日かけて戻るという旅程がちと酔狂だったけど。 さて落ち着いて、手持ちの資料を踏まえながらその成果を考えると、個人的には不知火甚…

北海道文献探索行

●早朝の新幹線で北へ向かう。二泊三日の北海道旅行である。といっても、今回は遊山目的ではない。文献系横溝マニアが総勢三人で、北海道立図書館に横溝文献の探索に行くのである。先発隊の二人は、すでに昨日旅立っている。私は諸事情があって一人遅れて出立…

北海道立図書館に突撃

●ホテルの軽食を喰って七時前にチェックアウト。電車に乗って札幌へ向かう。先発隊と合流し、大麻駅へと移動。さていよいよ、道立図書館に突撃である。●あらかじめ当たりを付けておいた雑誌の閲覧申請を出すと、やがて館員殿が三段のワゴンに左右二列ずつみ…

『非実体主義殺人事件』 J・シモンズ 論創社

●『非実体主義殺人事件』 J・シモンズ 論創社 読了。 上手く言語化できないけれど、ミステリにのめり込んだマニアがミステリの中に首まで浸かって書いた作品ではなくて、批評家体質の人間がミステリを外から観察してミステリの外に立ったまま書きあげたよう…

逃げて行く死体

●お願いしていた私家版の復刻叢書が届いた。『逃げて行く死体』 飛鳥高『傷なんか消せるさ』 飛鳥高島久平を大量に刊行した復刻叢書から、ついに飛鳥高の刊行が始まった。いやはや、素晴らしいことである。 ●本を読み、人と話をすると、宿題が増える。先日読…

『髑髏検校』 横溝正史 講談社大衆文学館

●『髑髏検校』 横溝正史 講談社大衆文学館 読了。 表題作を目的に手にした本だが、せっかくだから同時収録の「神変稲妻車」も読んだ。以前読んだ時の印象はまるで残っていないから、当時はたぶんつまらなかったのだろう。今回読んでみると、こんなにハチャメ…

曲がり角の死体

●思いがけず、所用で三十分ほど歩くことに。夏の炎熱地獄はとうに過ぎ、今や季節はすっかり秋、湿気が少なくて爽やかである。街中の日影のない、アスファルトの路面をてくてく歩いたので、暑いこた暑かったけど。 ●書店に寄って本を買う。『あなたは誰?』 …

「髑髏検校」ダイジェスト版

●またもや「髑髏検校」を読む。昨日読んだのは文庫版で、今日読んだのは同光社『不知火奉行』に収録されているダイジェスト版である。そもそも一連の「髑髏検校」へのアプローチは、ダイジェスト版の内容を確認するのが主たる目的だったのだ。 会話も描写も…

髑髏検校

●朝六時過ぎに帰宅。倒れるように寝る。半日使い物にならず。 ●夕方になって、昨日読み残していた「髑髏検校」を読み終える。 正史の器用さが分かる佳品。『吸血鬼ドラキュラ』の、特に序盤から中盤の展開をすっかり江戸の街に置き換えて活き活きと筆を進め…

打ち合わせと飲み会

●昨日はドラキュラを読了した盛り上がった気分のまま、勢いでクリストファー・リーの映画『吸血鬼ドラキュラ』を観てしまった。ストーリーは思い切って簡略化されてスピーディーになり、描写は毒々しく悪派手で、いやはや面白い。 ●午前中は野暮用。 ●いった…

『吸血鬼ドラキュラ』 B・ストーカー 創元推理文庫

●『吸血鬼ドラキュラ』 B・ストーカー 創元推理文庫 読了。 なにしろ十九世紀末の小説である。会話も描写も悠々として、さぞやまどろっこしくて退屈で、読むのがしんどいだろうと思っていた。ところが、そうやってあらかじめ期待値を下げ覚悟をして臨んだお…

灰色の魔法

●hontoに注文していた本が届いた。『アンブローズ蒐集家』 F・ブラウン 論創社『灰色の魔法』 H・ランドン 論創社 ランドンのグレイ・ファントムシリーズは、戦前に妹尾韶夫や横溝正史が訳している。妹尾が「灰色の幻」という題名で訳したのがシリー…

ドラキュラ

●今年は横溝正史関連の本をできるだけ読んでいこうと思っている。その一環として、近いうちに『髑髏検校』を再読する予定である。ただ単純に再読するのではなくて別に目的はあるけれど、それは後日書く。で、まずはその下準備として、ストーカーの『吸血鬼ド…

『死せる案山子の冒険』 E・クイーン 論創社

●『死せる案山子の冒険』 E・クイーン 論創社 読了。 ラジオドラマ・シナリオ集の二冊目。一冊目に引き続き、安定の面白さである。犯人当て作品は、作者の手際が悪いと、単なる推理クイズのような作り物めいたしらじらしさを漂わせてしまう。けれども本書の…

ヴィクトリア朝の怪人たち

●三井記念美術館で、「蔵王権現と修験の秘宝」と題する展示を観てきた。修験道の本尊である蔵王権現の姿は、十一世紀初頭にはその様式が固まっていたのだそうな。憤怒相で右手右足を持ち上げ、左手は腰にすえるのを基本形とする。今回は、様式から逸脱する例…

『壊れた偶像』 J・ブラックバーン 論創社

●『壊れた偶像』 J・ブラックバーン 論創社 読了。 猟奇殺人から始まった事件は、途中まではミステリの定石通りの、地味な捜査が描かれる。けれどもその過程で、じわじわと不穏な空気が漂いだす。やがて隠された主題が明らかになると、ブラックバーン流の突…

試行期間

●朝から病院。今後半年呑み続ける予定の薬が体質に合うかどうか、先々週の処方から二週間の試行期間を設けていた。その結果を医者殿が問診するのである。結論として、体調も悪くないし副作用もないようだ。という訳で、ひとまず三か月分処方してもらった。こ…

『「妖奇」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『「妖奇」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 高木彬光の「初雪」は、(伏字)という語り手の人物像が読みどころ。北林透馬の「電話の声」は、予想以上にしっかりと堅実に書かれている点を買う。 本書の目玉は、三百ページ以上の長編、尾…

コショウちゃんとの冒険

●盛林堂さんに注文していた本が届いた。『コショウちゃんとの冒険』 三橋一夫 盛林堂ミステリアス文庫『魔の淵』 三橋一夫 戎光祥出版二冊同時予約の特典として、『三橋一夫ジュニア小説読本』も同封されていた。

『チャーリー・チャン最後の事件』 E・D・ビガーズ 論創社

●『チャーリー・チャン最後の事件』 E・D・ビガーズ 論創社 読了。 普通のミステリ。なんとも真っ当な内容で、なんとも面白い。マニアしか喜ばないような奇天烈な設定がなく、読者を選ぶような毒がなく、読解に苦労するような文章の癖がない。だからこそ、…