累風庵閑日録

本と日常の徒然

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

還付金

●光文社文庫のミステリアンソロジーを読んでいる。が、読み疲れてきたので今日で一時中断。明日から別の本を読むことにする。 ●税務署から、所得税の還付金が振り込まれた。ぎりぎり六桁に達する結構な額である。この金を何に使ってやろうかと一瞬気持ちが浮…

「迷路の花嫁」比較

●自分用メモ「迷路の花嫁」比較。第十回まで。 連載第二回・段落削除(浩三が猟奇の徒であること)第二回・段落削除(犯罪の予感)第四回・段落削除(若いパトロール警官の緊張)第五回・文章削除(警官は用心ぶかい眼つきで、ふたりの顔を見くらべている。…

こつこつと

●某同人誌に原稿を書く予定である。題材として、先日入手した「迷路の花嫁」初出版を、角川文庫版と比較してみようと思う。大変面倒臭い作業でつい尻込みするが、ここは覚悟を決めて取り掛からねばなるまい。今のうちからこつこつと取り組んでおけば、締め切…

敵討走馬灯

●「横溝正史の『鷺十郎捕物帳』をちゃんと読む」プロジェクト。今回は第三話「敵討走馬灯」を読む。 風流旗本賀川大橘(かがわだいきつ)、ある秋の晩に向島百花園で催された虫聴きの会で、座興にまかせてつい喋ってしまったのが、昔の懺悔話である。名刀欲…

『不死の怪物』 J・D・ケルーシュ 文春文庫

●『不死の怪物』 J・D・ケルーシュ 文春文庫 読了。 先日読んだボワーズがしんどくて普通のミステリに少々食傷したので、口を変えようとクラシカルな怪奇小説を手に取ってみた。いやはやこれは面白い。ハモンド家に千年以上に渡ってとり憑き、時の当主に禍…

茨城遠征

●茨城県立図書館に遠征してきた。目的は、横溝文献のコピー入手である。 横溝正史の「迷路の花嫁」は、昭和二十九年の四月末から約五カ月間、当時「いはらき」という名称だった茨城新聞に連載された。その茨城新聞は、茨城県立図書館にマイクロフィルムの状…

横溝正史読書会

●第二回横溝正史読書会の日程が決まった。課題図書は、去年の十二月に角川文庫から出た『人形佐七捕物帳傑作選』である。 読書会では、ただ素直に物語を楽しんでその感想を語り合うのが、最もストレートなアプローチであろう。だが、別のアプローチもあり得…

『命取りの追伸』 D・ボワーズ 論創社

●『命取りの追伸』 D・ボワーズ 論創社 読了。 事件も展開もひたすら地味。ただでさえ面白味が乏しいところへ、訳文の独特な味わい(婉曲表現)には大変難渋させられた。書いてある意味をちょいちょい把握できずに、文章を追う目が止まってしまう。訳者は英…

飛鳥高探偵小説選

●hontoに注文していた本が届いた。『飛鳥高探偵小説選II』 論創社このシリーズも順調に巻を重ねていて、めでたいことである。一冊も読んでいないのが申し訳ないけれども。

殺人交響曲

●書肆盛林堂に注文していた本が届いた。『殺人交響曲』 蒼社廉三 戎光祥祥出版このシリーズも順調に巻を重ねていて、めでたいことである。一冊も読んでいないのが申し訳ないけれども。

『迷路の花嫁』 横溝正史 角川文庫

●『迷路の花嫁』 横溝正史 角川文庫 読了。 事件は陰惨だし、扱われている題材も湿度の高いものだが、全体のトーンは明るい。立ち塞がる障害を乗り越えながら、明るい未来へ向けて力強く歩んでゆく人々の物語である。 主人公松原浩三の造形は、「三つ首塔」…

神保町シアター

●今日は朝から、神保町シアターで開催されているミステリ映画の上映企画に行く。 「陰獣」は濃い。主演のあおい輝彦が濃いし、終盤の映像が濃い。そして唐突に挿入されるパノラマ島の舞台の濃さよ。割と原作通りにきちんと作ってあり、きちんと作ってあるか…

事件当夜は雨

●午前中は野暮用。 ●古本屋で本を買う。『事件当夜は雨』 H・ウォー ポケミス他に角川文庫の横溝正史『夜光中』の赤バージョンを入手。「緑三〇四の杉本カバー」というくくりで探していた本が、全バリエーション揃ったことになる。これは嬉しい。 ●午後から…

『運命の塔/ドラモンド』 春陽堂

●『運命の塔/ドラモンド』 春陽堂 読了。 昭和四年に刊行された、探偵小説全集の第九巻である。前半のコオナン・ドイル集は先日読んだ。昨日と今日とで後半のサッパア「ブルドック・ドラモンド」を読み、これで一冊読み終えたことになる。 主人公は、「ブル…

『宛先不明』 鮎川哲也 講談社文庫

●『宛先不明』 鮎川哲也 講談社文庫 読了。 鮎哲らしい特徴が詰まった作品。だが、巻末解説にもあるようにいかにも小味で、「らしい」以上のものはあまり感じられなかった。題名が示す事柄と(伏字)的条件とを組み合わせたメインのネタは、よく考えられてい…

愚者たちの棺

●書店に寄って本を買う。『金田一耕助、パノラマ島へ行く』 芦辺拓 角川文庫『愚者たちの棺』 C・ワトスン 創元推理文庫 ●チケットショップに寄って「18きっぷ」を売却。二回分使い残した状態で、買い取り価格四千三百円であった。予想よりちょい上回って…

『探偵サミュエル・ジョンソン博士』 リリアン・デ・ラ・トーレ 論創社

●仙台旅行に持って行った『探偵サミュエル・ジョンソン博士』 リリアン・デ・ラ・トーレ 論創社 を読了。 疲れる。些細な描写や登場人物の何気ない一言が伏線になっているので、いい加減な読み方ができないのだ。一編一編にじっくり集中して取り組まなければ…

仙台

●土曜日曜で、「18きっぷ」を使って仙台に行ってきた。先週京都に行ったばかりだというのに、各方面との調整が上手くいかず、こんな日程になってしまった。忙しいことである。 ●土曜早朝の電車で出かけ、昼過ぎに到着。地下鉄東西線の両端の、八木山と荒井…

カルメンの死

●横溝正史関連でひとつ、宿題を抱えている。先日、角川文庫の『迷路の花嫁』をなんとなくぱらぱらとやっていて、気になる文章に気付いたのだ。中島河太郎が書いた巻末解説で、正史が旧作の長編化を試みたりしたという記述の後、「この「迷路の花嫁」もその長…

『警官の騎士道』 R・ペニー 論創社

●『警官の騎士道』 R・ペニー 論創社 読了。 ロジック、ロジック、ロジック。ひたすらロジックに淫する作品。こいつは傑作。正直なところ、最初の尋問が描かれる序盤は、同じ事柄が複数の視点で何度も語られて、少々退屈だった。だが一通り証言が出尽くした…

極悪人の肖像

●hontoに注文していた本が届いた。『カクテルパーティー』 E・フェラーズ 論創社『極悪人の肖像』 E・フィルポッツ 論創社去年後半から、一ヶ月間に論創海外を四冊読んで二冊買うというサイクルが定着している。

『「探偵実話」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●先月末に手を出して読み残していた『「探偵実話」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 を読了。 「山女魚」狩久全体は他愛ないが、人間失踪ネタの絵柄が秀逸。 「青衣の画像」村上信彦ストーリーが進むに連れて、関係者の人物造形がくるくると何度…

コオナン・ドイル集

●京都旅行のお供に春陽堂の探偵小説全集第九巻『運命の塔/ドラモンド』を持って行き、今日まででひとまず前半の、コオナン・ドイル集を読んだ。中編短編合わせて四編収録されている。 「運命の塔」創元推理文庫版の訳題は「クルンバーの謎」である。東洋の…

京都旅行最終日

●京都旅行最終日。ホテルをチェックアウトして、荷物を抱えて二条城まで歩く。開門前の時刻なのに、すでに券売所の前に行列ができているのには驚いた。けれども実際はさほど混雑することもなく、順当に入場。国宝二の丸御殿を拝観し、庭園を散歩する。 障壁…

旅行二日目

●京都旅行二日目。八時過ぎに行動開始。ホテルをチェックアウトし、まず最初に今晩のホテルへ向かう。先に荷物だけ預かってもらうつもりが、なんとそればかりでなく、どうぞと言われて朝食のパンとコーヒーもいただいてしまう。今まで日本各地を旅行して回っ…

京都旅行

●早朝の電車で東京へ向かう。今日から二泊三日で、京都旅行に出かけるのだ。東京駅から新幹線で西へ向かい、十時過ぎに京都へ到着。「京都観光二日乗車券」を購入して、地下鉄でいったん今晩のホテルへ向かう。まず荷物を預けておいて、さて観光の始まりであ…

『殺人者の湿地』 A・ガーヴ 論創社

●『殺人者の湿地』 A・ガーヴ 論創社 読了。 初ガーヴである。薄くてさっと読める、ちょっとした良作。第一部を読んだ段階で、迫りくる警察の捜査に殺人者が怯えるありきたりのサスペンスかと思ったら、そうではない。主人公ハントの造形と終盤の盛り上がり…

『サム・ホーソーンの事件簿II』 E・D・ホック 創元推理文庫

●うわ、もう三月か。なんと早いことよ。 ●『サム・ホーソーンの事件簿II』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 いくつかコメント。「ボストン・コモン公園の謎」伏線描写も手紙の趣向も犯人設定も、どれも気が利いていて収録作中のベスト。「八角形の部屋…