累風庵閑日録

本と日常の徒然

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

更新途絶

●今月の総括。買った本:十冊読んだ本:十一冊今年は月に十冊ペースで読んでいたのだが、今月はそれ以上に読めた。無理をせず自然にこの冊数になったから、まあ読書ライフが充実しているということだ。●諸事情により、明日からしばらく更新が途絶えます。よ…

『少年探偵王』 芦辺拓編 光文社文庫

●『少年探偵王』 芦辺拓編 光文社文庫 読了。 今となっては、乱歩の幼年向け作品は光文社文庫の全集で読める。高木彬光の「吸血魔」は、十年前に「蝙蝠館の秘宝」の題でポプラポケット文庫から刊行された。だが本書の刊行当時は、これらの小説は読むのが非常…

蠅男

●書店に寄って本を買う。『蠅男』 海野十三 創元推理文庫『灰色の部屋』 E・フィルポッツ 創元推理文庫フィルポッツは、手持ちがシミやヤケで状態が悪いので買い直し。 ついでに、気になっていた三冊の本の現物を確認し、買わなくていいと判断した。こうい…

『騙し絵の檻』 J・マゴーン 創元推理文庫

●『騙し絵の檻』 J・マゴーン 創元推理文庫 読了。 ううむ、これは素晴らしい。個人的「今年読んだミステリ・ベストテン」に間違いなく入る傑作。伏線の妙、解決シーンの面白さ、真相の意外性といった要素が、それぞれ極めて高い水準にある。人物設定のおか…

万国博覧会

●書店に出かけて本を買う。『ホームズ、ニッポンへ行く』 V・ムルティ 国書刊行会ホームズ万国博覧会シリーズのインド編である。 ついでに、近日復刊予定だという某書を予約した。限定復刊で全国の書店に行き渡るとは限らないとのことなので、安全策を採る…

十二匹の狐

●「横溝正史の『左門捕物帳』をちゃんと読む」プロジェクト。今回は第四話「十二匹の狐」を読む。 芝居小屋で狐の装束で踊っていた十二人の子役達。その中の一人が短刀で突き殺された。ハナ啓が喚き散らし威張り散らし、たちまち下手人を縛ってしまったが、…

読書休止

●午前中は野暮用。●午後はジム。●夕方からレンタルDVDで映画を観る。●このところ頭がちょいと本疲れしているので、まとまった読書を休んでいる。木曜から今日まで、映画、映画、映画、捕物帳を少々、映画、映画、という生活である。『ウーマン・イン・ブ…

『煙の殺意』 泡坂妻夫 創元推理文庫

●『煙の殺意』 泡坂妻夫 創元推理文庫 読了。 粒揃いの傑作短編集。「紳士の園」と「閏の花嫁」とが特に秀逸。じわじわと盛り上がる不気味さがたまらん。後者のオチはだいだい予想がついたけれど、あるキーワードの使われ方が効果的。「煙の殺意」は、こいつ…

『死を呼ぶペルシュロン』 J・F・バーディン 晶文社

●『死を呼ぶペルシュロン』 J・F・バーディン 晶文社 読了。 ストーリーの起伏が凄まじい。主人公のアイデンティテを揺るがすような、そして同時に読者の不安を煽るような、奇妙な展開が次々と押し寄せてくる。この先どうなるのか、という興味でぐいぐい読…

『墓地の謎を追え』 R・S・プラザー 論創社

●『墓地の謎を追え』 R・S・プラザー 論創社 読了。 薄くてさっと読めるのが取り柄の、通俗ハードボイルド。軽快さに釣られてサクサク読み進めたが、あまりにもありきたりな展開に、途中で飽きてきた。キーワードは、失踪人探しの依頼を受けた私立探偵、ギ…

『レイナムパーヴァの災厄』 J・J・コニントン 論創社

●『レイナムパーヴァの災厄』 J・J・コニントン 論創社 読了。 おお、これは面白い。主人公クリントン卿の推測という形で、事件の骨格は割と早い段階で読者に提示される。あくまでも推測でしかないので、結末でどう転ぶか分からないけれども、一応はもっと…

シャーロック・ホームズの北欧のライヴァルたち

●お願いしていた私家版の本が届いた。『シャーロック・ホームズの北欧のライヴァルたち』 湘南探偵倶楽部●昨日の飲み会は初参加の方が二人もいらして、盛況で喜ばしいことである。残念ながらお一人は所用で早めにお帰りに。そして残ったお一人というのが、う…

『加田伶太郎全集』 福永武彦 扶桑社文庫

●『加田伶太郎全集』 福永武彦 扶桑社文庫 読了。 一番秀逸なのは第一作「完全犯罪」である。こんなにはっきり書いてある矛盾に気付かなかったとは、参りました、ってなもんで。容疑者を絞り込むロジックがシンプルなのも好ましい。他に秀逸作は、わずかな情…

診断結果

●先月の人間ドックの結果が届いた。一年前と比べて、体重三キロ減、体脂肪率一ポイント減。これは嬉しい。ピロリ菌検査は陰性。これも嬉しい。体重は目標値に達したので、今後は現状維持とし、できれば筋肉アップと体脂肪減少を図りたい。 再検査が二項目………

『ソロモン王の洞窟』 H・R・ハガード 創元推理文庫

●『ソロモン王の洞窟』 H・R・ハガード 創元推理文庫 読了。 「オトラント城綺譚」がゴシック小説の元祖であるのと同じ意味で、本書が秘境冒険小説の元祖なのかどうか、どうもはっきしりない。けれど、後年の作品に多大な影響を与えた、物語の「型」である…

二人の女王

●書店に寄って本を買う。『J・G・リーダー氏の心』 E・ウォーレス 論創社『エアポート危機一髪』 H・ウェルズ 論創社『ハイキャッスル屋敷の死』 L・ブルース 扶桑社ミステリー『二人の女王』 H・R・ハガード 創元推理文庫ハガードを買ったのは、三つ…

『閉ざされた庭で』 E・デイリー 論創社

●『閉ざされた庭で』 E・デイリー 論創社 読了。 地図が欲しい。庭園を構成する要素である、花畑、バラ園、道具小屋、温室、ロックガーデン、菜園、果樹園、池、それらを巡る小道。これらの配置が文章のみで説明されていて、実際どうなっているのかちっとも…

『死の翌朝』 N・ブレイク 論創社

●『死の翌朝』 N・ブレイク 論創社 読了。 怪奇趣味もなし、派手な外連もなし、奇天烈な不可能犯罪もなしで、実にお行儀のいいミステリ。ナイジェル・ストレンジウェイズシリーズの最終作で、人物造形に重点を置くブレイク流ミステリの、ひとつの到達点とい…

鹿児島旅行中止

●この週末に予定していた鹿児島旅行を中止した。各方面にキャンセルの手配をする。なにしろ台風が、まるで狙ったようにドンピシャのタイミングで九州に上陸するってえから、とても旅行なんか行ってられない。旅行自体はまたの機会を待てばいいからさほど残念…

『「探偵倶楽部」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『「探偵倶楽部」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 大河内常平「人間を二人も」は文章が軽快で、ストーリーがどうのというよりまず読んで面白い。夢座海二「遺言映画」は、終盤やけに駆け足で残念だが、根幹のアイデアは買う。そんなに上…