累風庵閑日録

本と日常の徒然

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ウエルシーニン「大破滅」

●昭和五年に刊行された春陽堂の探偵小説全集第十九巻から、ウエルシーニン「大破滅」を読んだ。 舞台はサンクトペテルブルグ。作中では「ペチエルブルグ」と表記されている。銀行の現金輸送馬車が襲撃され、駅で爆弾が爆発し、要塞の司令官が暗殺される。相…

半分まで

●扶桑社文庫の小栗虫太郎を半分まで。しんどいので通読はできない。明日からは別の本を読む。

『月が昇るとき』 G・ミッチェル 晶文社

●『月が昇るとき』 G・ミッチェル 晶文社 読了。 猟奇連続殺人を淡々と描く不思議な作風。だが、そういう奇妙さこそがグラディス・ミッチェルだと分かっているので、違和感はない。真相に至るロジックの妙を楽しむ、といった味わいには乏しいが、もともと期…

『だれがダイアナ殺したの?』 H・ヘクスト 論創社

●『だれがダイアナ殺したの?』 H・ヘクスト 論創社 読了。 大仰で時代がかったメロドラマから始まり、やがて物語の焦点はテレビのワイドショーのような下世話な疑惑へと移ってゆく。犯罪実話臭のするストーリーにはあまり魅力を感じないし、とにかく回りく…

ドラゴン・ヴォランの部屋

●午前中は野暮用。●帰宅途中に、書店に寄って本を買う。『ドラゴン・ヴォランの部屋』 J・S・レ・ファニュ 創元推理文庫●午後はレンタルDVDで映画。ひさしぶりに観るセガールおじさんは、太ったなー。

たった一ページで

●道立図書館遠征へ向けて気分が盛り上がっているので、横溝正史「蝋面博士」の、角川文庫版と初出誌とを最初の一ページだけ比較してみた。初出誌⇒角川文庫版(カッコ内は文庫版6ページの対象個所)・いちばんさむい季節だけれど⇒いちばん寒い季節だが(1行)…

図書館調査行

●東京都立中央図書館に行く。今度の北海道行きに向けて、調査方針の検討をするのだ。 もう少し具体的に書く。北海道立図書館に、昭和二十年代三十年代の雑誌が膨大な量所蔵されている。ある取次会社が寄付したという。その数何と十万冊以上。中には大衆向け…

からくり御殿

●今年の横溝プロジェクト「横溝正史の「不知火捕物双紙」をちゃんと読む」を発足させる。「不知火捕物双紙」とは、昭和十二年に『講談雑誌』に連載された、全八編の捕物シリーズである。 ところでのっけからずっこけるが、このプロジェクトは完結できないこ…

『復讐の女神』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『復讐の女神』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 奇妙な作品。探索すべき事件は何なのかを探索する物語である。こういう展開にすることでクリスティーがどういう効果を狙ったのか、よく分からない。中盤で状況が見えてきて、同時に現在進行形の事…

『比類なきジーヴス』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会

●鹿児島旅行のお供に持参して読み残した、『比類なきジーヴス』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会 を今日になって読了。 短編をつなぎ合わせて長編に仕立てた作品だそうで。各エピソード間のつながりはゆるく、実質的に短編集といってもいいような内容である…

鹿児島旅行

●鹿児島に行ってきた。一昨年は桜島の噴火を懸念して中止し、去年は台風直撃で中止した計画を、ようやく実現できたのである。●目的は、JR九州の突端、枕崎に行くことである。鹿児島中央駅から延々三時間弱、ディーゼルカーに揺られてのんびりとたどる。 序…

誰もがポオを読んでいた

●書店に寄って本を買う。『誰もがポオを読んでいた』 A・R・ロング 論創社帯に記載の刊行予定に注目。エドガー・ウォーレスの『真紅の輪』を、先月半ばに読んだ。その巻末解説で、横溝正史との関連で言及されているウォーレスの著作が、予定に挙がっている…

『冬休みの誘拐、夏休みの殺人』 西村京太郎 中公文庫

●『冬休みの誘拐、夏休みの殺人』 西村京太郎 中公文庫 読了。 他愛ないジュブナイル……と軽く見ていたら、思いの外読み応えがあって嬉しい驚き。中編が三編収録されており、そのどれもが、一筋縄ではいかない紆余曲折っぷりをきちんと楽しませてくれる。「そ…

『リモート・コントロール』 H・カーマイケル 論創社

●『リモート・コントロール』 H・カーマイケル 論創社 読了。 傑作、と言いたいところだが、保留。重要な点の説明が非常になおざりになっているように思えるのだが。結局、犯人は(伏字)のか? この点によって読後の感銘が薄れたことは事実だが、それでも…

『退職刑事5』 都筑道夫 徳間文庫

●盛林堂さんに注文していた冊子が届いた。『ミステリマガジン カバーデータ・インデックス』 田中すけきよ編●『退職刑事5』 都筑道夫 徳間文庫 読了。 解決部分で、仮定と想像と新たな情報とがどんどん出てくる。読者に事件の真相を読ませるのではなく、事…

『仮面の佳人』 J・マッカレー 論創社

●いろいろスケジュール調整をして、今日も休日。そのしわ寄せが後日やってくるわけだが、今は気にしない。●駒場の日本近代文学館に行く。目的は、所蔵されている『講談倶楽部』を閲覧し、横溝正史「幽霊騎手」の初出テキストを確認することにある。 角川文庫…

『友だち殺し』 L・ルイス 論創社

●『友だち殺し』 L・ルイス 論創社 読了。 これは面白い。インパクト十分な発端、ロジックへのこだわり、そしてある種禁じ手とも言える意外な真相。真相が見えたとたん、数々の疑問点が一挙に解明される面白さよ。それだけではない。結末に至ってさらに(伏…

謹賀新年

●新年あけましておめでとうございます。●いつものように五時に起き、大浴場で体を目覚めさせる。朝食バイキングをたっぷり喰って、部屋に戻って乱歩の続きを読む。●『十字路』 江戸川乱歩 光文社文庫 読了。 表題作は面白い。展開のスリルを味わう、上出来な…

ホテルで年越し

●年を越してから年末の日記を更新するのは間が抜けているが、気にしない。●家にこもって年を越すのが嫌だったので、ちょいとでかけることにする。遠からず近からずの場所として、今年は茨城県の土浦を選んでみた。距離以外の選択理由はないし、この街に別に…