累風庵閑日録

本と日常の徒然

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

雑誌に訳載

●論創海外のホームズパスティシュ集『シャーロック・ホームズの栄冠』が、この度創元推理文庫に入った。しかも、新規に一編追加されているという。その一編のために文庫版も買わねば、と思ったが、いや待てしばし。 書店で実物を手に取って中身を確認すると…

『恋は罪つくり』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●読み残していた、『恋は罪つくり』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 を読了。 「名作で読む推理小説史」の第二弾、恋愛ミステリー傑作選だそうで。本書に収録されているような、心理の綾の面白さを扱った作品は、実のところ守備範囲ではない。それでも何…

『サム・ホーソーンの事件簿 IV』 E・D・ホック 創元推理文庫

●旅のお供として倉敷に持って行った、『サム・ホーソーンの事件簿 IV』 E・D・ホック 創元推理文庫 を、今日になって読了。「革服の男の謎」がベスト。強烈な謎に意外な真相、きっちり伏線もあって上出来である。「黒いロードスターの謎」は、指摘されて…

1000人の金田一耕助

●土曜から、岡山県は倉敷で開催されるイベント『1000人の金田一耕助』に参加してきた。●土曜の朝、新幹線を岡山で降り、昼飯を調達してから伯備線の清音駅へ向かう。集合場所にはすでに、大勢の参加者が集まってきている。二日前に会ったばかりの人や一…

紛失

●まったく間抜けな話で恐れ入るが、昨日夜のイベントに向かう途中、地下鉄の中でSUICAを無くした。イベント会場の最寄り駅には十九時前には着いていたのだが、駅の事務所で紛失物の問い合わせをしたりSUICA停止の処理を依頼したりで時間を使い、会…

粘土の犬

●光文社文庫のミステリアンソロジーを読んでいる。収録作のどれもこれもが、ねっとりとした情念の世界を扱っており、続けて読んでほとほと食傷してしまった。こいつは中断し、明日から別の本を読むことにする。●文学フリマに行く。お目当ての冊子を購入し、…

灰色の魔術師

●昨日の日記で言及したランドンの「灰色の魔術師」は、横溝正史が翻訳を手掛けている。つまり、横溝文献のひとつなのである。「金色の魔術師」と関連があるなら、そっちのストーリーを忘れないうちにランドンも読んでおきたい。 この辺りの話は二年前の日記…

『金色の魔術師』 横溝正史 ポプラポケット文庫

●『金色の魔術師』 横溝正史 ポプラポケット文庫 読了。 かつて、この作品とハーマン・ランドン「灰色の魔術師」との関連を指摘した某ブログを面白く読んだことを思い出す。だがそれ以外の部分は、要するにまぎれもないジュブナイルで、どうということもない…

杉本一文『装』画集

●午前中は野暮用。●いったん帰宅して車を置き、電車に乗って東京に出る。杉本一文画伯の個展を見学し、待望久しい画集を買うのだ。六本木の会場では、たっぷりとしたスペースに大量の原画が展示されており、眼福である。初日だから、当然画伯ご本人がいらっ…

鮮血の乳房

●横溝関連プロジェクト「人形佐七映画のシナリオを読む」の第四回は、新東宝で昭和三十四年に作られた「鮮血の乳房」と、原作の「やまぶき薬師」とを読むことにする。 まずは原作の「やまぶき薬師」を読む。今回手に取ったのは、昭和二十八年に同光社から出…

『鉄路のオベリスト』 C・D・キング 論創社

●『鉄路のオベリスト』 C・D・キング 論創社 読了。 心理学と経済学とに関わる議論が何度も繰り返される。その部分の意味がさっぱり理解できず、目が文字の上を滑ってゆくばかり。作者はなぜこんな事を長々と書いたのか、不思議な作品である。もともとが心…

小酒井不木探偵小説選

●書店に寄って本を買う。『小酒井不木探偵小説選II』 論創社また論創社の本を買ってしまった。

『よしきた、ジーヴス』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会

●『よしきた、ジーヴス』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会 読了。 前回読んだ『比類なきジーヴス』は、短編をつなぎ合わせて長編に仕立てたもので、似たようなエピソードの繰り返しがちと退屈であった。だが今回の長編は違う。人間関係の厄介な問題がいくつ…

『毒の矢』 横溝正史 角川文庫

●明日は仕事なので、今日は観光なしでさっさと切り上げる。早朝の名鉄で名古屋に向かい、八時半の新幹線に乗る。車内で読み残していた『毒の矢』 横溝正史 角川文庫 を読了。ストーリーは原型版ほぼそのままで、伏線や心理描写が書き加えられることで完成度…

簡単なお仕事

●朝から電車に乗って街に出る。電車の中で「扉の中の女」を読み、『金田一耕助の帰還』に収録されている「~の中の女」シリーズ三編を読み終えた。三編ともに、あれっと思うほどあっけない。ショートショートか探偵クイズのような読み味である。金田一耕助が…

神の毒の当たり矢

●光文社文庫の『金田一耕助の帰還』から「毒の矢」を読む。平日は朝しか読めないので、八十ページのこの作品に二日かかってしまった。読んでなるほど。中傷の手紙で金品を要求し、樹の根元に埋めておくよう指示する辺りが「神の矢」で、事件の中心となる趣向…

関係ない「当たり矢」

●春陽文庫の佐七シリーズ『梅若水揚帳』から「当たり矢」を読む。ええーっ、「神の矢」と全然関係ない話やん。まあ内容としてはいかにもミステリらしい趣向があって面白かったけれど。これと「毒の矢」がどうつながるのか、そして「神の矢」と「毒の矢」がど…

二つの「神の矢」

●朝のドトールで「むつび」版の「神の矢」を読んだ。中央線のC駅から二里ばかり、高原の温泉場で巻き起こる「一種不可思議な、得体の知れぬ妙に薄気味悪い事件」……のオープニングである。なにしろ連載一回だけなのだから、物語が動き出す間もない。登場人物…

『サム・ホーソーンの事件簿I』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サム・ホーソーンの事件簿I』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。いくつかコメント。「呪われた野外音楽堂の謎」驚くほど多くの伏線が散りばめられていて、収録作品中のベスト。「乗務員車の謎」夜行列車での旅の様子が楽しい。「そびえ立つ尖塔の謎」…

載ってそう

●論創海外ミステリの『鉄路のオベリスト』から、付録として収録されている四短編を読む。以前、扶桑社文庫の『翳ある墓標』で読んだ作品の再読。四編とも、いかにもパルプ雑誌に載ってそうな小説で、なかなか楽しい。その、載ってそうってのは、ぼんやりとし…

中断

●今日から読み始めた国内ミステリが、あまりにも不愉快である。扱われている題材が、実にもう、馬鹿げていて、くだらなくて、おぞましくて、醜い。もう読みたくない。ミステリの質とは関係ない部分で、ページをめくることができなくなってしまった。こいつは…

『代診医の死』 J・ロード 論創社

●『代診医の死』 J・ロード 論創社 読了。 これはなかなかの秀作。事件の捜査とそれに伴うディスカッション以外の要素がほとんどない。奇怪な不可能犯罪もないし、犯人の悪意が伝わってくるようなスリリングな展開もない。読者の嗜好によっては退屈に思える…

『殺しのディナーにご招待』 E・C・R・ロラック 論創社

●『殺しのディナーにご招待』 E・C・R・ロラック 論創社 読了。 捜査関係者のみならず、登場人物の多くが事件についてディスカッションを繰り返す様子が楽しい。ただしそこで語られる内容は手がかりに基づいた推理ではなく、確たる根拠のない推測が多いの…

素性を明かさぬ死

●書店に寄って本を買う。『素性を明かさぬ死』 M・バートン 論創社『ピカデリーパズル』 F・ヒューム 論創社相変わらず、買うのは論創社の本が多い。そして近いうちに、論創ミステリ叢書の小酒井不木も買う予定。

『大暴れ若旦那』 三橋一夫 春陽文庫

●『大暴れ若旦那』 三橋一夫 春陽文庫 読了。 初めて読むタイプの小説である。こういうのを「明朗小説」というのだろうか。主人公は天婦羅屋の若旦那。しっかりしていて気配りもできて、明朗で前向きで、礼儀と信頼とを重んじ、子供にも懐かれ、「気は優しく…

用事を片付ける

●今日はいろいろ用事を片付けることにする。●隣の市にある「街の古本屋」に、久しぶりに本を売りに行く。文庫単行本取り混ぜて、ダンボールひと箱で二千五百円也。上出来である。●ちょっと離れた場所のブックオフを久しぶりに覗き、角川スニーカー文庫版の横…

『ソニア・ウェイワードの帰還』 M・イネス 論創社

●『ソニア・ウェイワードの帰還』 M・イネス 論創社 読了。 主人公の造形が面白い。自意識でぱんぱんに膨らんで、張り裂けそうになっている。俺様は上流階級に属し、知識も教養もあって、合理的で冷静で、困難な問題にも臆せず適切に対応できるだけの、勇気…

『エラリー・クイーンの事件簿2』 E・クイーン 創元推理文庫

●『エラリー・クイーンの事件簿2』 E・クイーン 創元推理文庫 読了。「<生き残りクラブ>の冒険」 シナリオ版は論創海外で既読。だが、犯人とメインのネタ以外の詳細は当然のように忘れているので、多少なりとも新鮮な気分で読めた。(伏字)であるかどうか…