累風庵閑日録

本と日常の徒然

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

総括

●今月の総括。買った本:五冊読んだ本:十一冊戎光祥出版の『横溝正史研究6』が今月の購入本に含まれるかと期待していたのに、とうとう含まれなかった……

『新・本格推理03』 二階堂黎人編 光文社文庫

●『新・本格推理03』 二階堂黎人編 光文社文庫 読了。 小貫風樹「とむらい鉄道」は、犯人の行動を予測するロジックが秀逸。結末にも感心した。青木知己「Y駅発深夜バス」は、第一部の不気味さと第二部の世界がひっくり返る様子と、どちらもよく書かれてい…

身代わり千之丞

●今読んでいるミステリアンソロジーがなかなかしんどい。もう疲れたのでここでいったん休止する。今日はその代りに、「横溝正史の「不知火捕物双紙」をちゃんと読む」プロジェクトの第三回をやる。「身代わり千之丞」を読むのだ。 そのころ評判の役者千之丞…

怪星の秘密

●お願いしていた本が届いた。『怪星の秘密 森下雨村空想科学小説集』 盛林堂書房よくもまあ、こういう本を新刊で出すものよ。凄い。素晴らしい。

小説幻冬

●書店に寄って、幻冬舎の『小説幻冬4月号』を買ってきた。掲載されている小松亜由美「誰そ彼の殺人」が目当て。実際いつ読めるのかはちょっと分からないけれども。

絵物語神変稲妻車

●昨日の日記は読書会の話に特化するため、一部省略した。 昨日の午前中は駒場の日本近代文学館を訪れ、横溝文献をコピー。入手したのは、「絵物語 神変稲妻車」、「真夜中の口笛」、「動かぬ時計」である。「神変~」は作品そのものを読むために。他二編は角…

第4回横溝読書会

●都内某所にて、「第4回横溝読書会」が開催された。課題図書は「八つ墓村」である。参加者は幹事、司会者含めて総勢十一人。初参加のお方が二人もいらして、盛況喜ぶべし、である。駅に集合して会場に移動し、本や資料やお菓子やらをテーブルに広げて、さて…

『八つ墓村』 横溝正史 角川文庫

●『八つ墓村』 横溝正史 角川文庫 読了。 明日の横溝読書会の課題図書である。読みながら書き散らしたメモは六十項目以上になった。こいつを取捨選択して整理して、プリントアウトする。作品の感想は読書会レポートのときに。●直接読書会には関係ないが、当…

花嫁首

●今度の週末に、都内某所で「第4回横溝読書会」が開催される。その課題図書『八つ墓村』を、ようやく読み始めた。●書店に寄って本を買う。『花嫁首』 柴田錬三郎 創元推理文庫眠狂四郎は、その昔一冊だけ試しに読んで、あまりピンとこなかった記憶がある。…

『中国銅鑼の謎』 C・ブッシュ 論創社

●『中国銅鑼の謎』 C・ブッシュ 論創社 読了。 不満点がひとつある。自分の心覚えのためにその部分を書いておく。(以下、公開したって伏字ばかりになるので段落ひとつ分非公開) ただ、上記のような不満があってなお、全体としてはほぼ満足。なにしろ、黄…

またコピー依頼

●国会図書館にまとまった量のコピーを依頼した。「病院坂の首縊りの家」の、残り半分である。まあ、来週の月曜くらいには入手できるだろう。●明日は火曜日、飲んでいい日である。そして今日は休日、時間にも気力にもゆとりがある。というわけで、楽しい明日…

『瓢庵先生捕物帖』 水谷準 講談社ロマン・ブックス

●『瓢庵先生捕物帖』 水谷準 講談社ロマン・ブックス 読了。 このシリーズをまとめて読むのは初めて。これほどまでにミステリ風味が濃いとは思わなかった。暗号、一人二役のバリエーション、顔のない死体、隠し場所トリック、などなど、趣向が豊富である。た…

探偵作家コンクール

●午前中は野暮用。●午後は久しぶりのジム。うっかりサボり癖がついてしまうと、あっという間に日が経ってしまう。今日はなんと半月ぶり。いかんいかん。●しっかりした読書に取り組む気分ではないので、昨日届いた「探偵作家コンクール」を読む。問題編も回答…

「病院坂の首縊りの家」の初出

●国会図書館から、依頼していた横溝関連のコピー資料が届いた。まず一点目は、『野性時代』に連載された「病院坂の首縊りの家」の初出テキストである。その筋の方はご存知の通り、この作品は単行本化の際大幅に書き縮められている。その実態を自分で確かめて…

『プリーストリー氏の問題』 A・B・コックス 晶文社

●『プリーストリー氏の問題』 A・B・コックス 晶文社 読了。 面白い。練り込まれたストーリーと散りばめられたくすぐりとが、実に面白い。ただ途中で、どうやら最後には八方丸く収まるだろうと予想してしまったので、先の展開に対する興味が薄れた。そのた…

金座太平記

●横溝正史の時代小説「緋牡丹銀次捕物帳 金座太平記」を読んだ。正史の戦前スリラー「夜光虫」を下敷きにした作品だというので、その点を自分で確認することが、今回の目的である。出版芸術社の『奇傑左一平』に収録されている。 結論として、これはまぎれも…

『虐殺の少年たち』 G・シェルバネンコ 論創社

●『虐殺の少年たち』 G・シェルバネンコ 論創社 読了。 警察小説の秀作。凄惨だが一見単純な事件の裏に潜む真相を、主人公の警官が信念と正義感でもって追及してゆく。事件があまりにも陰惨なので、面白いというのは語弊があるが、とにかくページをめくらせ…

『心地よく秘密めいた場所』 E・クイーン ポケミス

●『心地よく秘密めいた場所』 E・クイーン ポケミス 読了。 真相も真相に至る筋道も、特に感心するようなものではなかった。けれど、つまらないわけではない。七十年代の作品であるにもかかわらず、釦や足跡、そして左利きなんていう時代がかった手掛かりを…

ラスキン・テラスの亡霊

●書店に寄って本を買う。『甲賀三郎探偵小説選III』 論創社『ラスキン・テラスの亡霊』 H・カーマイケル 論創社『見たのは誰だ』 大下宇陀児 河出文庫論創海外は、どうやら月に一冊の刊行で定着したようだな。●国会図書館から、横溝正史「まぼろしの怪人…

『ようこそ、死のパーティーへ』 R・スタウト 論創社

●『ようこそ、死のパーティーへ』 R・スタウト 論創社 読了。 収録の三中編それぞれに、ミステリ的に楽しめるポイントがある。表題作の、決め手となる手掛かり。「翼の生えた銃」の、殺人手段。「『ダズル・ダン』殺害事件」の、解決のためにウルフが仕掛け…

「南海の太陽児」の初出

●三康図書館から、横溝正史「南海の太陽児」の、初出テキストのコピーを入手した。ただし連載一回分が欠けているけど。入手の目的は、三一書房の少年小説体系に収録されているバージョンとの比較である。同叢書は、どうやらテキストの信頼性にやや疑問がある…

『中世的世界とは何だろうか』 網野善彦 朝日文庫

●『中世的世界とは何だろうか』 網野善彦 朝日文庫 読了。 目次から、いくつかキーワードを拾ってみる。海民と遍歴する人々、中世の職能民、庭、税と交易、宴と贈り物、楽市と駆込寺、等々。「網野史学」でよくお目にかかる単語が、この本にも見える。これら…

「あかずの間」の初出

●国会図書館から、横溝正史「あかずの間」の、初出テキストのコピーを入手した。掲載誌は『なかよし』(昭和三十二年夏季増刊号・三巻十一号)である。 早速、角川文庫『姿なき怪人』に収録されているバージョンとざっと見比べてみた。まず文章全体が、初出…

『ラリーレースの惨劇』 J・ロード 論創社

●税務署に行ってきた。日曜だから当然業務はやっていない。プリントアウトした確定申告の書類一式を、時間外収受箱に放り込む。ああ、やれやれ、これで肩の荷が下りた。 今年はなんじゃかんじゃあって、ウン万円の税金が還付される。やったぜ臨時収入! と一…

「仮面城」の初出

●国会図書館から、依頼していた複写文献が届いた。横溝正史のジュブナイル「仮面城」の初出テキストである。ただしちょっとした行き違いがあり、連載一回分だけは想定外の未所蔵で、「複写謝絶」の回答をいただいたけれども。 欠け分を心当たりの他の図書館…

『金三角』 M・ルブラン 偕成社

●『金三角』 M・ルブラン 偕成社 読了。 分かりやすい悪役に、ルパンとの知的闘争に、親の代からの恋愛模様に、宝探しの興味も加わって、こりゃあ受ける題材が詰まってるわ、と思う。だが実際読んでみると、愛だの義務だの理想だの誓いだの、大仰な台詞回し…

再検診

●朝から病院。夏の人間ドックに引っかかって、半年後の再検診である。と言っても実際は、お医者殿と簡単な質疑応答を交わした後、夏の結果を観ながらコメントをいただく、という内容だった。いくつかの指標で数値が基準を上回ったり下回ったりしているのだが…