累風庵閑日録

本と日常の徒然

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

総括

●今月の総括。買った本:八冊読んだ本:十冊月の後半で野暮用に時間を取られ、十一冊は読めなかった。●もう五月も終わりである。そしてこの頃やけに暑い。そろそろやらなきゃと思って、エアコンのフィルターを掃除した。シーズン初のクーラー稼働は、いつに…

笛を吹く浪人

●「横溝正史の「不知火捕物双紙」をちゃんと読む」プロジェクト、第五回目は「笛を吹く浪人」を読む。 若侍鵜飼弦次郎は、近頃やきもき。旗本の娘である許嫁の奈津女(なつめ)が、婚約破棄を言い出したばかりか、逢いに行っても几帳の陰に隠れて顔さえ見せ…

『緯度殺人事件』 R・キング 論創社

●『緯度殺人事件』 R・キング 論創社 読了。 事件全体を覆う枠組みが、割と早い段階で提示される。枠組みとはつまり、背景となる過去の出来事と、そこから導かれる動機と、犯人の属性である。で、問題は、そういった属性を隠している人物は誰か? という点…

「怪盗X・Y・Z」と「姿なき怪人」

●北海道立図書館から、依頼していた横溝ジュブナイルのコピーが届いた。「怪盗X・Y・Z」と「姿なき怪人」との、それぞれ連載一回分である。これで両作品の初出テキストが揃った。 私の不手際と先方のミスとがひとつずつあって、依頼のやり直しをしてやた…

『ちょっとそこまで ひとり旅 だれかと旅』 益田ミリ 幻冬舎

●ニコラス・ブレイクがしんどくて、ちょっとばかりフィクションに食傷してしまった。そこで気分を変えるために、図書館から手軽に読めるノンフィクションを借りてきた。というわけで、『ちょっとそこまで ひとり旅 だれかと旅』 益田ミリ 幻冬舎 を読了。 著…

『くもの巣』 N・ブレイク ポケミス

●『くもの巣』 N・ブレイク ポケミス 読了。 宝石泥棒の男と、田舎出の純真な女。そんなラブラブカップルが、次第に転落してゆく犯罪メロドラマ。というのが第一部の内容である。はっきり言って私の好みではない。ニコラス・ブレイクの長編をすべて読むつも…

野暮用

●土曜日曜と、野暮用で身動き取れず。本は野村胡堂の短編集を少し読んだだけ。まあ、こんな日もある。

『ダークライト』 B・スパイサー 論創社

●『ダークライト』 B・スパイサー 論創社 読了。 突出した特徴のない、極めてオーソドックスなPIノヴェル。失踪人の調査依頼から始まって私立探偵があれこれ訊き回り、途中で死体に遭遇したりしつつ最終的には事件を解決する。そういういかにもなパターン…

『最後の審判の巨匠』 L・ペルッツ 晶文社

●『最後の審判の巨匠』 L・ペルッツ 晶文社 読了。 一人称の回想という形式にはヨワイ。これだけで、物語に引き込まれてしまう。奇天烈なミステリだが、なかなかの読み応えであった。巻末解説によると、本書をミステリ呼ばわりしたら作者から怒られそうだけ…

ミステリー・レガシー

●書店に寄って本を買う。『大下宇陀児 楠田匡介 ミステリー・レガシー』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫こうやって長編復刊の取り組みを始めたミステリー文学資料館の今後には、大いに期待している。

『増補版 時刻表昭和史』 宮脇俊三 角川文庫

●旅のお供に持って行った、『増補版 時刻表昭和史』 宮脇俊三 角川文庫 を読了。 鉄道にまつわる著者の回想は、私自身の過去の記憶をも呼び覚ます。昭和初期とはもちろん比較にもならないが、私が覚えている範囲だけでも、かつての国鉄から現在のJRへとず…

松山城と丸亀城

●今年のゴールデンウィークは、どこにも旅行せず大人しくしていた。そのかわりこの週末に、四国に行ってきた。目的は、四国にある現存天守のうち松山城と丸亀城との見学である。●松山城は思いの外構造が複雑で、急階段を登ったり降りたり、大廊下を歩いたり…

『素晴らしき犯罪』 C・ライス ハヤカワ文庫

●朝から病院。三ヶ月に一度、お医者殿に薬を処方してもらうための定期受診である。●北海道立図書館から、複写代金の請求書が届いた。実際に複写物を手にできるのは月末になりそうだ。●『素晴らしき犯罪』 C・ライス ハヤカワ文庫 読了。 犯人のある工作があ…

蟇屋敷の殺人

●書店に寄って本を買う。『蟇屋敷の殺人』 甲賀三郎 河出文庫河出書房新社は、最近のクラシックミステリ復刊の流れを「KAWADEノスタルジック」という枠でアピールしたいらしい。大歓迎である。素晴らしいことである。 ただ、個人的にはシリーズに通し…

『「別冊宝石」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『「別冊宝石」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 足柄左右太「私は誰でしょう」がベスト。謎の設定、キャラクターの造形、真相に至る道筋と、どれもなかなか魅力的。とぼけた動機も面白い。他に、井上銕「何故に穴は掘られるか」の犯人の…

第三のバージョン

●午前中は文フリ。あらかじめチェックしていた三冊を購入し、神保町横溝会にご挨拶申し上げ、さっさと会場を立ち去る。●午後はとある美術館の展示を観に行く。だが、特に心に響くような展示物はなかった。これは展示会の質が低いわけではなく、午前中で疲れ…

いろいろ省略

●今日の日記はいろいろ省略。●午前中は上野の国際子ども図書館で、横溝関連の文献調査とコピー。ひとつ判明したことがあるけれど、省略。●昼から九段の二松学舎大学で、講演会を聴講。詳細は省略。●講演後に神保町に移動して、古本を一冊購入。書名は省略。●…

吸血鬼の島

●お願いしていた本が届いた。『吸血鬼の島』 江戸川乱歩 まんだらけ出版部特典小冊子が手に入らなかったのは残念だけども、まあやむを得ない。●今日は金曜、飲んでいい日である。しかも休日、肴に手間をかけるだけの時間はある。だが、どうも気分が乗らず面…

『極悪人の肖像』 E・フィルポッツ 論創社

●『極悪人の肖像』 E・フィルポッツ 論創社 読了。 題名の通り、語り手である主人公の造形が読み所。俺様は頭がいい。俺様は意思が強い。俺様は愚かな兄貴達とは違う。といった、ぱんぱんに膨らみ切った自意識が時に痛々しいが、決して不愉快ではない。表向…

『カクテルパーティー』 E・フェラーズ 論創社

●『カクテルパーティー』 E・フェラーズ 論創社 読了。 平穏な村の暮らしにも、小さな山があり谷がある。同居の弟の婚約、近隣住民とのトラブル、恋愛関係のもつれ、無神経な知人のお節介。そういった出来事が、登場人物それぞれに様々な感情の揺らぎをもた…

『亡者の金』 J・S・フレッチャー 論創社

●『亡者の金』 J・S・フレッチャー 論創社 読了。 ミステリ小説というよりは、作者が考えたお話、である。ストーリー展開の興味を重視する故か、大きな偶然を積極的に導入し、ストーリーの起伏を重視する故か、とって付けたような結末を持ち出してくる。殺…