累風庵閑日録

本と日常の徒然

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:七冊読んだ本:十冊最後のホックにてこずって、今読んでいる山田風太郎を月内に読了できなかった。

夜間病棟

●電車に乗って街に出て、本を買う。『夜間病棟』 M・G・エバハート 論創社『代診医の死』 J・ロード 論創社ようやくエバハートが刊行されて、論創海外の通番が埋まったのが目出度い。

『サム・ホーソーンの事件簿III』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サム・ホーソーンの事件簿III』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 いやはや、今週はやけに忙しくて、読書時間がちっとも確保できなかった。この一冊を読むのに四日もかかっちまった。でもそのおかげで、一編一編を割と集中して読むことができた。悪…

瀧夜叉達磨

●「横溝正史の「不知火捕物双紙」をちゃんと読む」プロジェクト。今回は第七話「瀧夜叉達磨」を読む。 とある品評会に出席した、肩に人面瘡を持つ若衆と背中に瀧夜叉姫の彫物を背負った女。どういう因縁か、会の主催者山城屋宇兵衛が女に斬りかかろうとした…

疲れて贅沢

●「18きっぷ」を使って、土曜からちょいとでかけてきた。かつての飲み仲間と再会し、飲んだくれる。今日はそのおっさんに車を出してもらって、日帰り温泉でひとっ風呂。●それにしても、待ち時間を含め一日で九時間ほども鉄道に乗り続けると、さすがにくた…

『九つの解決』 J・J・コニントン 論創社

●『九つの解決』 J・J・コニントン 論創社 読了。 この作風、嫌いではない。大量の手掛かりに基づいて複雑な事件を再構築してみせる推理の展開は、お見事である。だが、ううむ、関心はするけど感動はしない。 訳者あとがきの、真相を明かして論じた部分に…

ファントマ

●書店に寄って本を買う。『鮎川哲也探偵小説選』 論創社『ファントマ』 P・スヴェストル&M・アラン 風濤社ファントマの訳書は、久生十蘭全集第十一巻を買ってある。それが手元にあるとしても、今回の完訳というのが嬉しい。実際読んで面白いかどうかはま…

『悪魔の玉手箱』 斎藤栄 ソノラマ文庫

●『悪魔の玉手箱』 斎藤栄 ソノラマ文庫 読了。 読者への挑戦シリーズ、という副題が付いている。冒頭には、「著者が読者のみなさんに挑戦する、四つのパズルが含まれています」とある。これがもう、なんとも他愛ない。挑戦の内容が、文字通りパズルなのであ…

『生ける死者に眠りを』 P・マクドナルド 論創社

●『生ける死者に眠りを』 P・マクドナルド 論創社 読了。 閉鎖空間での連続殺人を描く、サスペンスが主体の作品。犯人に擬せられる人物の本名と大まかな背景とは、序盤のうちに読者に示される。では現在件の人物はどこでどうしているのか、というのがメイン…

『笛吹けば人が死ぬ』 角田喜久雄 春陽文庫

●今週はちと忙しくて、読書が低調。●『笛吹けば人が死ぬ』 角田喜久雄 春陽文庫 読了。 捻りが面白い「翳のある歯」と、短いページ数でこの着想をきちんと形にしてみせた「悪魔のような女」とが気に入った。表題作はアンソロジーなんかで既読だが、何度読ん…

『守銭奴の遺産』 E・フィルポッツ 論創社

●『守銭奴の遺産』 E・フィルポッツ 論創社 読了。 ミステリの器を借りて、特異な人物像を描くことに主眼を置いた作品。と、そう読んだ。密室トリックも、手がかりに基づく推理も、意外な真相も、作者の主たる興味の対象ではないようだ。 この作者の作風な…

『灯火管制』 A・ギルバート 論創社

●『灯火管制』 A・ギルバート 論創社 読了。 真犯人は途中でなんとなく分かった。もちろん推理の結果ではない。それどころか、あちこちに散りばめられている伏線をことごとく読み落としているのであった。解決部分を読んで初めて分かる、これら伏線の数々に…

『死国』 坂東眞砂子 マガジンハウス

●『死国』 坂東眞砂子 マガジンハウス 読了。 序盤は、静かな展開にちょいちょい不気味なくすぐりが散りばめられる、いかにも怪奇小説めいた味わい。これが嬉しい。やがて、作者が用意した物語世界の基本設定が言葉で説明されると、ふんふんなるほどそういう…

ステージの悪魔

●古本屋で衝動買い。『ステージの悪魔』 J・ケインズ YELLOW BOOKS『死者からの手紙』 L・エリクスン YELLOW BOOKS『砂の城の殺人』 E・S・クレア YELLOW BOOKSこのシリーズにはあまり興味がなかったのだが、先日ふと…

ほや

●今日は火曜日、飲んでいい日である。スーパーで晩酌の肴を物色していると、鮮魚コーナーで「剥きほや」が売っていたので衝動買い。平日の夜に包丁を握る気力はないが、パッケージを開けて酢醤油を用意するくらいならできる。久しぶりのほやでもって冷や酒を…

『蝉しぐれ』 藤沢周平 文春文庫

●『蝉しぐれ』 藤沢周平 文春文庫 読了。 面白いし、上手いと思うが、読んでいる間はなかなかしんどかった。現代サラリーマン社会でもよくある面倒くさい状況が、ちょいちょい出てくるのである。ロジックや戦略に基づかず場の空気で決まる組織の方針だとか、…

出光美術館

●出光美術館で、「水墨の風」と題する展示を観てきた。雪舟と長谷川等伯とをメインに据えて、日本への水墨画の伝播から江戸時代に発展した多様な技法までを概観した内容である。雪舟の「破墨山水図」が一番気に入った。うかつなことを書けば半可通のぼろが出…