累風庵閑日録

本と日常の徒然

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:十冊読んだ本:十冊読了するのにいつもより時間のかかる本が重なったので、ちとしんどかった。

『月光殺人事件』 V・ウィリアムズ 論創社

●『月光殺人事件』 V・ウィリアムズ 論創社 読了。 なんともオーソドックスな、外連味のない謎解きミステリである。本書に書かれてあるのは、たとえば天才型の探偵像や、関係者の行動を時刻毎に事細かに追及する捜査である。物語の進展に伴って次々と新事実…

ルクンドオ

●書店に寄って本を買う。『ルクンドオ』 E・L・ホワイト アトリエサード ●ついでに久しぶりにブックオフを覗き、ここでも本を買う。『七人のおば』 P・マガー 創元推理文庫パット・マガーはその昔、「探偵を探せ」を読んでどうもピンとこずに、以来手を出…

『別冊・幻影城 NO.16 小酒井不木』 幻影城

●『別冊・幻影城 NO.16 小酒井不木』 幻影城 読了。 去年河出文庫で『疑問の黒枠』が出た。いいきっかけなので読もうと思っていたのだが、実際に手に取るのが延び延びになってしまった。本書には長編「疑問の黒枠」と、他に十二編の短編が収録されてい…

黒いアリバイ

●書店に寄って本を買う。『歴史としての戦後史学』 網野善彦 角川文庫『黒いアリバイ』 W・アイリッシュ 創元推理文庫アイリッシュはほとんど読んでいない。創元の復刊フェアがいい機会だから、手を出してみようと思う。

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第四回

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第四回をやる。 ◆「一月二百磅」 ビーストン(大正十四年『新青年』) エトリッジの屋敷に侵入した泥棒が捕らえられた。そころがその男は、エトリッジをペテン師のアルギーとして知っており、以前獄中で…

『江戸川乱歩の推理試験』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『江戸川乱歩の推理試験』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 掌編なのに手掛かりと推理とをきっちり描いている秀作が多く含まれていて、なかなかの好アンソロジーであった。以下、いくつかの作品にコメントを付けて挙げておく。 ・型通りの密室ミ…

『山下利三郎探偵小説選I』 論創社

●『山下利三郎探偵小説選I』 論創社 読了。 今日はどうもがっくりして気力がないので、簡潔に済ませる。 全体として明るいトーンの作品が多く、さくさく読めた。そこかしこに漂うとぼけた味わいと、軽いものではあるがロジック志向とが好ましい。前者の要素…

『ポケットにライ麦を』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『ポケットにライ麦を』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 被害者のポケットに入っていたライ麦や、ある場面に登場する洗濯バサミといった小道具の意味が、マープルの指摘によって突然判明する。(伏字)がモチーフだってことは読む前から知ってい…

人車鉄道

●宮城県大崎市の御本丸公園で、コスモス祭りというのをやっている。期間中、かつて当地で実際に旅客営業をしていた人車鉄道の、復元運行があるというので乗りに行ってきた。 ●仙台駅で荷物をロッカーに預け、身軽になって在来線で松山町駅へ移動。そこから御…

『林不忘探偵小説選』 論創社

●『林不忘探偵小説選』 論創社 読了。 「釘抜藤吉捕物覚書」と「早耳三次捕物聞書」と、両シリーズを全編収めた優れものの作品集である。前者のシリーズは、まず主人公の造形が良い。残された手掛かりと広い見聞とを基に、鋭い推理で事件を解決する名探偵で…

『ハイチムニー荘の醜聞』 J・D・カー ハヤカワ文庫

●『ハイチムニー荘の醜聞』 J・D・カー ハヤカワ文庫 読了。 外部から侵入できないはずの屋敷をうろつく、縞ズボンの怪人物。書き様によっては大いに盛り上がりそうな題材なのに、実際の描写はやけに淡泊である。それどころか、事件そのものが軽く扱われて…

『戸田巽探偵小説選II』 論創社

●『戸田巽探偵小説選II』 論創社 読了。 好みからして、どうも歩留まりの悪い短編集であった。結末で残念な方向にずっこけてしまうような作品が続くと、読んでいて冷静になる。 オチのある掌編は面白かった。作品名を挙げると、「ビロードの小函」、「屍体…

月光殺人事件

●書店に寄って本を買う。『月光殺人事件』 V・ウィリアムズ 論創社『川野京輔探偵小説選I』 論創社『紅殻駱駝の秘密』 小栗虫太郎 河出文庫『100分de名著 ウンベルト・エーコ 薔薇の名前』 和田忠彦 NHK出版『薔薇の名前』は、その昔刊行を待ちわ…

『フランドルの呪絵』 A・P・レベルテ 集英社

●『フランドルの呪絵』 A・P・レベルテ 集英社 読了。 これは面白かった。ふとした気まぐれで買って積ん読二十三年、思わぬ拾い物であった。絵画に隠された五世紀前の殺人の謎と現代の事件とが交錯するサスペンスである。 文章は、良く言えば丁寧、悪く言…

『西尾正探偵小説選II』 論創社

●『西尾正探偵小説選II』 論創社 読了。 結局通読することにした。疲れた。 最も気に入った怪奇小説は、オチが秀逸な「墓場」であった。ところがこの作品、どうやらラヴクラフトが下敷きになっているそうで。そういうことなら、元ネタは創元推理文庫の全集…

宝島探検

●お願いしていた本が届いた。『宝島探検』 森下雨村 盛林堂ミステリアス文庫解説の記述に間違いがあったそうで、後日訂正表を送っていただけるという。律儀で丁寧なことである。