累風庵閑日録

本と日常の徒然

2018-01-01から1年間の記事一覧

七之助捕物帖

●書店に寄って本を買う。 『不条理な殺人』 P・マガー 創元推理文庫 『方壺園』 陳舜臣 ちくま文庫 ●三省堂オンデマンドに注文していた本が届いた。 『七之助捕物帖 第一巻』 納言恭平 捕物出版 捕物出版というのは、対象を捕物小説に特化し刊行形態をオン…

『風間光枝探偵日記』 論創社

●『風間光枝探偵日記』 木々高太郎/海野十三/大下宇陀児 論創社 読了。 表題シリーズは三人の作家の持ち回りで書かれているから、作風が統一されておらずとっ散らかっている。分量はどれも二十ページほどで、展開があっけなく結末はそっけなく、まるで梗概…

『死は我が隣人』 C・デクスター ハヤカワ文庫

●『死は我が隣人』 C・デクスター ハヤカワ文庫 読了。 五百ページ以上あるそこそこ大部の作品だが、さほど長さを感じず中だるみもせずに、面白く読めた。要因はいくつかある。最大のポイントは、訳文が性に合っていたこと。途中でひっかからずすいすいと読…

『サム・ホーソーンの事件簿VI』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サム・ホーソーンの事件簿VI』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 収録のどの作品も伏線沢山だし解決はロジカルだし、このシリーズは本当に安心安定の面白さである。気に入った作品はたとえば、犯人の行動の理由が面白い「旅人の話の謎」、事件の絵柄…

都会の怪獣

●お願いしていた本が届いた。 『都会の怪獣』 楠田匡介 湘南探偵倶楽部 素晴らしい。

名探偵ルパン

●書店に寄って本を買う。 『川野京輔探偵小説選II』 論創社 『十三の謎と十三人の被告』 G・シムノン 論創社 『名探偵ルパン』 M・ルブラン 論創社 ●今読んでいる本が、どうもつまらない。中断して、明日からは別の本を読むことにする。 ●今あるプリンタ…

『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』 E・D・ホック 原書房

●『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』 E・D・ホック 原書房 読了。 短編の名手ホックの才気がみなぎる好作品集である。聖典がらみの小ネタと史実に関連するくすぐりとが散りばめられているし、きっちり伏線を仕込んでロジカ…

被害者を捜せ!

●お願いしていた本が届いた。『被害者を捜せ!』 P・マガー 創元推理文庫先日の日記に書いた誤発送があって宙ぶらりんだったのが、ようやくこれで創元推理文庫のパット・マガーが揃った。やれやれ。 ●角川横溝文庫のダブりをブックオフで拾うのを別にすれば…

『延原謙探偵小説選』 論創社

●『延原謙探偵小説選』 論創社 読了。 全般的に、小粒で素朴。巻末解題では、作者は翻訳が本業であって創作は余技的スタンスであることが示唆されている。なるほどそれも頷ける。 「銀の小函」は真相の捻りが面白いし、手がかりに基づく推理の要素もあるしで…

今月の総括

●今月の総括。買った本:十二冊読んだ本:十冊私家版と古本とに手を出したので、購入数が増えてしまった。

殺人仮装行列

●書店に寄って本を買う。 『殺人仮装行列』 山本周五郎 新潮文庫 作品社の全集が出た後に発見された作品が五編含まれているというから、これは買わないといけない。 ●国会図書館から、お願いしていたコピーが届いた。 「サムの真心」 マッカレー 「サムの禁…

『ダイアルAを回せ』 J・リッチー 河出書房新社

●『ダイアルAを回せ』 J・リッチー 河出書房新社 読了。 粒揃いの傑作短編集である。その面白さは、捻りとオチと切れ味にある。こう書くとなんともありきたりな表現だが、本書にはこれらの要素が実に高い水準で満ち満ちている。 カーデュラものが三編、タ…

探偵小説の黄金時代

●お願いしていた本が届いた。 『探偵小説の黄金時代』 M・エドワーズ 国書刊行会 特典のバークリー小冊子が嬉しい。このためにこそ、盛林堂さんに注文したのだ。

『アリントン邸の怪事件』 M・イネス 論創社

●『アリントン邸の怪事件』 M・イネス 論創社 読了。 なんともはや、悠々とした物語である。情景も人物の外見も作中で行われる催しの様子も、丁寧に描写が積み重ねられる。登場人物同士が会話を交わす場面も、実にゆったりとしたもので。ある発言があれば、…

四人の女

●書店に寄って本を買う。 『四人の女』 P・マガー 創元推理文庫 最近気になり始めたパット・マガー。なんとなく書店を覗いたら新刊で売っていたので、買ってしまった。そしてついつい勢いで、未入手の二冊もネット古書店で注文した。

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第五回

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第五回をやる。今回は途中で思わぬ事態が発覚したので、二編しか読めなかった。 ◆「緑の紙片」 バーリイ・ペイン(昭和二年『新青年増刊』) 牧師が偶然入手した紙片の断片には、姓名不詳の少女の危機が…

『薫大将と匂の宮』 岡田鯱彦 扶桑社文庫

●『薫大将と匂の宮』 岡田鯱彦 扶桑社文庫 読了。 探偵役の紫式部はいわゆる名探偵型のキャラクターではなく、事件の経過に翻弄されるように迷い、惑う。事件そのものだけではなく、関係者の人間性にも感情を揺さぶられる。自分自身の内面を覗き、様々に揺れ…

カササギ殺人事件

●昨日の日記は読書会の話題に特化するために、一部省略した。読書会の前に、書店に寄って本を購入。『カササギ殺人事件(上)』 A・ホロヴィッツ 創元推理文庫『カササギ殺人事件(下)』 A・ホロヴィッツ 創元推理文庫最近長い小説を読むのがしんどくなっ…

第六回横溝読書会 『犬神家の一族』

●第六回横溝読書会が開催された。課題図書は長編「犬神家の一族」である。参加者は幹事さん司会者さん含め総勢十三人で、しかも読書会初参加のお方が三人もいらっしゃる。会場は浅草の昭和モダンカフヱ&バー「西浅草黒猫亭」さんで、このために貸し切り。一…

『死の実況放送をお茶の間へ』 P・マガー 論創社

●『死の実況放送をお茶の間へ』 P・マガー 論創社 読了。 とにかく、普通である。個性際立つ登場人物達の諍いと、やがて起きる殺人。語り手であるヒロインは、意図せずに何か重要な情報を知ってしまったらしい。犯人もそのことに気付いているようだ。具体的…

書評・評論コンクール応募集成

●書店に寄って本を買う。『少年ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 ●お願いしていた本が届いた。『日本推理作家協会70周年 書評・評論コンクール応募集成』 野地嘉文

『山下利三郎探偵小説選II』 論創社

●『山下利三郎探偵小説選II』 論創社 読了。 「運ちゃん行状記」 そそっかしい主人公のてんやわんやを描くコメディ戯曲。そもそもミステリなのかというと疑問はあるが、この軽妙さはけっしてつまらなくはない。こういうのも書けるなんて、作者はなかなか小…

『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(上)』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●宮崎旅行に持って行ってちまちま読んでいた、『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(上)』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 を読了。 交通機関を舞台にした戦前作品を集めたアンソロジーである。なかでも鉄道ネタの作品は、ストーリーそのもの…

宮崎旅行

●この週末で、宮崎に行ってきた。具体的には、海沿いを南下して日南地方を経由し鹿児島県に至る、鉄道路線の突端まで行ってきた。行ってどうするというものはない。鉄道の車窓風景を眺めるのが目的である。 旅行中はポメラでメモを取っていた。今日はもう疲…

『黒い死』 A・ギルバート ポケミス

●『黒い死』 A・ギルバート ポケミス 読了。 恐喝者の口を封じようと決意した四人の被害者達。皆で籤を引いて、当たった者が単独で対応することに決めた。残りの三人に累が及ばないように、当たったことは黙っておく、という申し合わせもした。ところがここ…

『サンダルウッドは死の香り』 J・ラティマー 論創社

●『サンダルウッドは死の香り』 J・ラティマー 論創社 読了。 ギャンブラーと謎めいた美女と、ナイトクラブと豪邸と、酒と拳銃と。ちとだらしない探偵コンビの活躍が、ハードボイルド系ミステリによくある要素を散りばめながら語られる。軽快な味わいは読ん…

『世界怪談名作集 下』 岡本綺堂編訳 河出文庫

●『世界怪談名作集 下』 岡本綺堂編訳 河出文庫 読了。 素朴で古雅な作品集であった。なにしろ原本の刊行が昭和四年なのである。そのあまりの古風さに、去年のことだが上巻はかなりてこずった。今回ようやく、下巻を読み終えた。 アンドレーフ「ラザルス」が…

マクシミリアン・エレール

●書店に寄って本を買う。『死の実況放送をお茶の間へ』 P・マガー 論創社『サンダルウッドは死の香り』 J・ラティマー 論創社『アリントン邸の怪事件』 M・イネス 論創社 新潮文庫の周五郎少年文庫も気になったけど、パス。作品社の『少年探偵・春田龍介…

『牧逸馬探偵小説選』 論創社

●『牧逸馬探偵小説選』 論創社 読了。 機知と捻りと、怪奇と諧謔と、それにちょっぴりの皮肉。作者の才気がみなぎる、読んで楽しい好短編集であった。収録作は一部の例外を除いてごく短いものばかりで、創作だけでも三十編以上と数が多い。気に入った作品も…

今月の総括

●今月の総括。買った本:十冊読んだ本:十冊読了するのにいつもより時間のかかる本が重なったので、ちとしんどかった。