2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧
●年内最後の更新をやる。今年の総括である。 ◆今年一年、皆様にはお世話になりました。ありがとうございます。来年もまた、よろしくお願いいたします。 ◆全体的に平穏で、時間にも気持ちにもゆとりのある一年であった。ジム通いが依然として続いており、体重…
●『光石介太郎探偵小説選』 論創社 読了。 これは面白かった。内容がバラエティに富んでいて、しかもなかなかの佳作が多い。その多様さは驚きで、がちがちの本格ミステリ、街の綺譚、土の匂いがするような田舎綺譚、オーソドックスな怪談、ハードボイルド、…
●『ある醜聞』 B・コッブ 論創社 読了。 設定が秀逸。上司である警視とその秘書との逢引を偶然知ってしまった主人公のアーミテージ警部補。秘書はその後失踪し、死体で発見される。上司はなんと、秘書と関係があったことをしらばっくれて黙っている。知って…
●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十八回をやる。今回は、博文館世界探偵小説全集第六巻『ヒユウム集』に併録の七編のなかから三編を読むことにする。 ◆エデイソン・マーシヤル「リンウツド倶樂部事件」 良い方向に予想を裏切る秀作。…
●お願いしていた本が届いた。 『ある醜聞』 B・コッブ 論創社 たぶん年内に読む。 ●昨日と今日とで、学研M文庫の芥川龍之介を四割ほど読んだ。なにしろ八百ページ近い大部の代物なので、到底一気には通読できない。来年にかけて細切れに読んでいくことにす…
●午前中から野暮用。今回は毎月の定例以外にイレギュラーな対応が発生して、大幅な時間超過。ほとほと気疲れしてしまった。やれやれ。 ●『女郎蜘蛛』 P・クェンティン 創元推理文庫 読了。 強烈な傑作。オーソドックスなミステリでは、謎の解明に取り組む名…
●書店に寄って本を買う。 『四つの凶器』 J・D・カー 創元推理文庫 ●お願いしていた本が、二方面から届いた。 『七つの燈』 A・K・グリイン 湘南探偵倶楽部 『クラファムに住んだ男』 E・ウォーレス 湘南探偵倶楽部 『チャリイの匕首』 E・フィルポッ…
●光文社文庫の江戸川乱歩『新宝島』から、「知恵の一太郎」を読んだ。内容は、申し訳ないが他愛ないと言う他はない。むしろ面白かったのは巻末の解題で。底本とした戦後の初刊本は、初出誌における戦時色が消されているそうな。その比較が具体的に挙げられて…
●『陰謀の島』 M・イネス 論創社 読了。 奇天烈な冒険ミステリ。あるいは素っ頓狂なミステリ・ファンタジー。伏線やロジックってな評価軸とは別の立ち位置にある作品である。大した価値のない馬の盗難事件が、まさかそう転がるか、という展開に驚く。破天荒…
●『電話ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 伏線や犯人設定等全体の出来栄えで、泡坂妻夫「ダイヤル7」が収録作中のベスト。それとは別に、切れ味では笠井潔「留守番電話」が一等賞。展開の異様さでは中井紀夫「十一台の携帯電話…
●泊りでおでかけ。かつての飲み仲間と再会し、日帰り温泉でひとっ風呂浴びてから飲んだくれてきた。 ●上記の用事は土曜の夕方からの話である。それまでの寄り道として、東北某所の巨大古本屋を覗いてきた。そこで買った本。 『チェーホフ全集3』 中央公論社…
●『血ぬられた報酬』 N・ブレイク ポケミス 読了。 交換殺人ネタをそつなく描く、型通りのサスペンスミステリ。主人公格の人物が中途半端に善良で身勝手で、腰が定まらないのが読んでいてちとしんどいけれども。犯罪発覚への恐怖ならばサスペンスの定番だが…
●二方面から、お願いしていた本が届いた。 『落ちていた青白い運命』 倉田啓明 東都我刊我書房 『ロウランド・ハーンの不思議な事件』 N・オールド ROM叢書
●『北洋探偵小説選』 論創社 読了。 気に入った作品にコメントを付ける。「失楽園」 戦前探偵小説のような読み口が吉。巻末解題によればメインのネタが斬新だということで称賛されているようだが、海野十三のアレは違うのだろうか。 「無意識殺人」 ブラック…
●お願いしていた本が届いた。 『千両文七捕物帳 第三巻』 高木彬光 捕物出版 予想よりも早かった。上出来である。 そしてもう一冊も届いた。 『陰謀の島』 M・イネス 論創社
●『パンチとジュディ』 C・ディクスン ハヤカワ文庫 読了。 ううむ、つまらなくはないが…… 作中にあるように「馬鹿騒ぎと田舎町での道化芝居が先行して」おり、その後になってようやく、関係者への質問が始まる構成が異色。その騒ぎに語り手のケン・ブレイ…
●『瓢庵先生捕物帖』 水谷準 同光社磯部書房 読了。 面白い。名作、傑作、といった種類の面白さではないけれども。ユーモアと言うより洒落っ気と言った方が似合いそうなとぼけた可笑しさと、意外なほど濃厚なミステリ趣味とで、すいすい読める。その味わいは…
●『眼の壁』 M・ミラー 小学館文庫 読了。 序盤を読んで、もしかしてこの先しんどいかも、という懸念があった。ヒース家を精神的に支配するケルジーの嫌らしさを、ねちねちと描き続けられちゃあたまらぬ。だが実際は、全然別の展開になった。殺人その他複数…
●『吉野賛十探偵小説選』 論創社 読了。 短い中にちょいと気の利いたミステリのエッセンスが盛り込まれているような作品が多く、全体を面白く読めた。あまりに内容があっけない作品もあるけれども。 以下、気に入った作品についてコメントを付けておく。「鼻…