累風庵閑日録

本と日常の徒然

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

総括

●今月の総括。買った本:十冊読んだ本:十冊 今月も積ん読が減らなかった。買う本は厳選しているつもりなのだが、それでもぜひ買っておきたい魅力的な本が多すぎるのである。

『十一番目の災い』 N・ベロウ 論創社

●『十一番目の災い』 N・ベロウ 論創社 読了。 なにやら不審な品を扱う犯罪組織。そんな組織が絡む殺人事件を題材にしたスリラーである。要所要所で偶然を大胆に取り入れ、起伏の大きさと展開の速さとで読ませるタイプ。事件の謎が明らかになる段取りは、特…

世紀の犯罪

●お願いしていた本が届いた。 『世紀の犯罪』 A・アボット 論創社 『密室殺人』 R・ペニー 論創社 注目は『世紀の犯罪』である。横溝正史の某作品との関連が指摘されているのだ。訳者あとがきや巻末解説にその辺りの情報を期待していたのだが、残念ながら…

「鍾乳洞殺人事件」

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十三回として、扶桑社文庫の『横溝正史翻訳コレクション』からK・D・ウィップルの「鍾乳洞殺人事件」を読む。 派手な事件とスピーディーな展開、そして少々心細い解決というのは、以前読んだ『ルー…

『幻の名探偵』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『幻の名探偵』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 以下の二編が特に秀逸。甲賀三郎「拾った和銅開珍」は、落語か昔の笑い話にでも出てきそうなシンプルなネタが好ましい。葛山二郎「古銭鑑賞家の死」は、いくつもの伏線がちょっと感心するような真…

『クイーン警視自身の事件』 E・クイーン ハヤカワ文庫

●『クイーン警視自身の事件』 E・クイーン ハヤカワ文庫 読了。 引退したリチャード・クイーン元警視が主人公の、スピードと起伏とで読ませる作品である。けれども単純なスリラーではない。結末に至って、前半のとある描写の意味が分かる。意味が分かると、…

アリバイ

●書店に寄って本を買う。 『アリバイ』 A・クリスティー 原書房 『シャーロック・ホームズの事件録 眠らぬ亡霊』 B・マクバード ハーパーBOOKS 原書房がクラシックミステリに戻ってきた。まずはめでたい。

『地下鉄伸公』 三木蒐一 東成社

●『地下鉄伸公』 三木蒐一 東成社 読了。 先日まとまめて読んだ地下鉄サムの流れで、積ん読だったこの本を手に取ってみた。昭和二十七年にユーモア小説全集の第十八巻として刊行されたもので、七編が収録されている。作者の発想のきっかけは地下鉄サムだった…

『戦前探偵小説四人衆』 論創社

●『戦前探偵小説四人衆』 論創社 読了。 一冊にまとめるには作品量が足りない作家を四人集めて、一冊に仕立てたという好企画。その四人とは、羽志主水、水上呂理、星田三平、米田三星である。 最も気に入ったのが、今まで「監獄部屋」しか知らなかった羽志主…

『ソーンダイク博士』 フリーマン 改造社

●『ソーンダイク博士』 フリーマン 改造社 読了。 世界大衆文学全集の第六十巻である。ストーリーの起伏も真相の意外性もさほどではない。興味の中心は、博士が何に気付いてどういう検証実験をしたかにある。これがどうも、やけに面白い。結末に至って初めて…

『大倉燁子探偵小説選』 論創社

●『大倉燁子探偵小説選』 論創社 読了。 手に取ったのは先週の日曜だが、内容に乗れずに中断して別の本に寄り道して、今日になってどうにか読了。とうとう最後まで気分は醒めたままであった。詳しくは書かないが、作者のスタイルは私の好みから遠く隔たって…

『おしゃべり時計の秘密』 F・グルーバー 論創社

●『おしゃべり時計の秘密』 F・グルーバー 論創社 読了。 相変わらず素寒貧なジョニーとサム。価値がありそうでなさそうで何か裏がありそうな「おしゃべり時計」を巡る騒動に、半ば自主的に巻き込まれてゆく。事件に金策に懸命に駆けずり回るジョニーと、ぶ…

『奇術探偵曾我佳城全集』 泡坂妻夫 講談社

●『奇術探偵曾我佳城全集』 泡坂妻夫 講談社 読了。 「白いハンカチーフ」と「バースデイロープ」は、あれこもれも伏線だったのか、と驚く。「消える銃弾」は、何故(伏字)たのか、という視点が良い。「ジグザグ」は、犯行の経緯にはあまり感銘を受けなかっ…

鮎川哲也探偵小説選

●お願いしている定期購読の本が届いた。 『鮎川哲也探偵小説選II』 論創社 『渡辺啓助探偵小説選I』 論創社 鮎川哲也が特に嬉しい。

すべては死にゆく

●お願いしていた本が届いた。 『すべては死にゆく』 L・ブロック 二見書房 今年になって初の古本買いである。 ●日常の買い物がてら書店にも寄って本を買う。 『のりもの勝席ガイド 2019-2020』 イカロス出版 今年もこのムックの刊行時季になった。…

『死者との誓い』 L・ブロック 二見文庫

●『死者との誓い』 L・ブロック 二見文庫 読了。 マット・スカダーシリーズの第十一作である。まず、事件が面白い。通り魔的な射殺事件で、容疑者はすぐに逮捕された。解決があまりに早く単純だったので、警察は捜査の常道である被害者の身辺調査をやってい…