累風庵閑日録

本と日常の徒然

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

魔女の不在証明

●お願いしていた本が届いた。 『キャッスルフォード』 J・J・コニントン 論創社 『魔女の不在証明』 E・フェラーズ 論創社 ●今月の総括。 買った本:十二冊 読んだ本:十一冊 論創ミステリ叢書を四冊読めたのが、まあ上出来。

血染めの旅籠

●書店に寄って本を買う。 『血染めの旅籠』 南絛範夫 創元推理文庫 『幽霊島』 A・ブラックウッド他 創元推理文庫 『モダニズム・ミステリ傑作選』 長山靖生編 河出書房新社 『ジーヴスの世界』 森村たまき 国書刊行会 ●国書刊行会のウッドハウス短編集を読…

『葛山二郎探偵小説選』 論創社

●『葛山二郎探偵小説選』 論創社 読了。 描写のくどさがしんどい作品もあるし、ページ数が足りないのかいろいろ置いてきぼりになっているような作品もある。だが概ねは佳作・秀作・傑作で、全体として上出来の短編集であった。捻りと切れ味、伏線とロジック…

「清姫の帯」

●かつて取り組んでいた「横溝正史の「不知火捕物双紙」をちゃんと読む」プロジェクトは、全八話のうち七話目まで読んで無念の中断をしていた。最終第八話「清姫の帯」のテキストが、入手できていなかったのである。ところが今回ありがたいことに、某方面から…

『眺海の館』 R・L・スティーヴンソン 論創社

●『眺海の館』 R・L・スティーヴンソン 論創社 読了 時代がかった台詞回しと、民話めいた素朴さと、一筋縄ではいかない少々の皮肉と、デフォルメの効いた人物造形と。本書を読んで感じるのは概ねそんなところ。ミステリの周辺書といった内容で、論創海外ミ…

『正木不如丘探偵小説選I』 論創社

●『正木不如丘探偵小説選I』 論創社 読了。 伏線、ロジック、意外な真相、あるいは捻りや切れ味。そういった観点で評価してはいけない作家のようだ。巻末解題に曰く、マニア向けではないからこそ「枠にとらわれない面白さがある」だそうで。そういうことな…

『妹尾アキ夫探偵小説選』 論創社

●『妹尾アキ夫探偵小説選』 論創社 読了。 「十時」は型通りの展開だが、その型が私好み。どうやら妹尾アキ夫の持ち味とはちょっと違っているようだが。中盤のサスペンスが上々なのが「スヰートピー」、「人肉の腸詰」、「本牧のヴィナス」といったところ。 …

二松学舎大学オープンキャンパス

●二松学舎大学のオープンキャンパスイベントで、横溝正史を題材にした模擬授業があるという。イベントの目的は来春の入学生募集にあるようなので、私ごときはまるでお呼びでない。それでも、参加資格に特に制限がないので、教室の隅っこで遠慮しているつもり…

『古書ミステリー倶楽部II』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『古書ミステリー倶楽部II』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 今回はどうも、やや低調であった。そのなかで気に入ったのは、以下のような作品。 横田順彌「姿なき怪盗」は、謎の設定は強烈だったが結末がちと不満。その不満点に関しては、巻末…

クリスピン本

●お願いしていたクリスピン本が届いた。 『Murder, She Drew Vol.1 Beware of Fen』 素晴らしい。ぜひとも既訳作品を全て読まなければ。そうしないと、特に後半がネタバレ前提のこの本を十分に味わえない。 ●今日から読み始めた論創社の妹尾アキ夫が、都市・…

『新アラビア夜話』 スティーヴンスン 光文社古典新訳文庫

●『新アラビア夜話』 スティーヴンスン 光文社古典新訳文庫 読了。 論創海外の新刊、スティーヴンソン【ママ】『眺海の館』は、「新アラビア夜話」第二巻をベースに編集されているそうな。この本は今月中に読みたいと思うが、まずは準備として、積ん読だった…

『ドルの向こう側』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫

●『ドルの向こう側』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫 読了。 いろいろあって読書時間を確保できず、ついさっきまで読んでいた。今から感想を文章に仕立てる時間はないので、読んだという記録だけ。真相は複雑で悲劇的な、いつものロスマク流。

『大下宇陀児探偵小説選II』 論創社

●『大下宇陀児探偵小説選II』 論創社 読了。 大下宇陀児をちょいと見直した。まず、デビュー作「金口の巻煙草」がなかなかいい。メインのネタは大したものとは思えないけれども、往時の学生生活が生き生きと描かれていて興味深い。随筆「処女作の思ひ出」…

『消えた玩具屋』 E・クリスピン ハヤカワ文庫

●『消えた玩具屋』 E・クリスピン ハヤカワ文庫 読了。 謎の設定に関しては、ちと戸惑うような構成である。中盤までは、そこで何が起きたか、という謎がメインとなっている。それ以降は、誰がそれをやったかという、前半では背後に退いていた謎が扱われる。…

『サイモン・アークの事件簿II』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サイモン・アークの事件簿II』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 評価ポイントは三つ。事件の謎、伏線、真相である。謎の魅力と伏線の妙とで、「死を招く喇叭」が個人的ベスト。吹く者をたちどころに老衰死させる呪いの喇叭、という突拍子もない事件…

『ドラキュラのライヴァルたち』 M・パリー編 ハヤカワ文庫

●『ドラキュラのライヴァルたち』 M・パリー編 ハヤカワ文庫 読了。 作者不詳の「謎の男」が面白かった。ストーカーの「ドラキュラ」以前に、こんなお約束通りの作品があるとは。ストーカー後の作品であるフレデリック・カウルズ「カルデンシュタインの吸血…