累風庵閑日録

本と日常の徒然

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:十二冊読んだ本:十冊 今年になって、古本を六冊買った。そのうち四冊が今月の購入である。そのせいで購入総数が増えてしまった。読む方は、終盤にボアゴベなんて大物に手を出してしまったので、十一冊は読めなかった。

臆病一番首

●書店に出かけて本を買う。 『臆病一番首』 山本周五郎 新潮文庫 新発見の現代ミステリが二編収録されているというのをツイッターで知ったので、早速購入。ツイッターは有益な情報が得られて、つくづくありがたいことである。 ●お願いしていた本が届いた。 …

「片耳の男」

●某図書館から、昭和二十五年十二月に『少女サロン』に掲載された、横溝正史「片耳の男」のコピーが届いた。初出は昭和十四年九月の『少女の友』で、原題は「七人の天女」である。その後、昭和二十九年に偕成社の『青髪鬼』に「片耳の男」の題で、昭和三十年…

名探偵カッレ

●書店に寄って本を買う。 『見知らぬ者の墓』 M・ミラー 創元推理文庫 『生まれながらの犠牲者』 H・ウォー 創元推理文庫 『名探偵カッレ 城跡の謎』 A・リンドグレーン 岩波書店 ●ボアゴベ『鉄仮面』が、予想を大きく上回って面白い。ページが順調に進ん…

当分書けない

●今日から、講談社文芸文庫のボアゴベ『鉄仮面』を読み始めた。上下巻でトータル千二百ページを超える大部の代物である。私の読書ペースだと、順調にいっても一週間はかかるだろう。したがって、当分の間読了日記は書けないことになる。あしからず。 ●先日コ…

『魔女の不在証明』 E・フェラーズ 論創社

●『魔女の不在証明』 E・フェラーズ 論創社 読了。 いわゆるロマンティックサスペンス風味の作品。主人公が嘘をつき情報を隠すことで物語を維持する手法は、私の好みから遠く遠く隔たっている。途中からもうすっかり醒めてしまって、犯人も真相も、割とどう…

第十五回「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」

●午前中は野暮用。 ●帰宅して昼寝してから、横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十五回をやる。 ◆「砂嚢」 バロネス・オルチ (昭和十年『新青年増刊』) レディ・モリーの事件簿シリーズの一編。一年前、裕福な女主人が殺された。今は弟…

『甦る名探偵』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『甦る名探偵』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 角田喜久雄「霊魂の足」がベスト。複雑な犯罪の経緯がよく考えられている。梅雨時の湿気に悩まされる加賀美の様子が執拗に描かれ、この作者らしいねっとりとした雰囲気が迫ってくる。そして、ビー…

織姫かえる

●注文していた本が届いた。 『ルパン、100億フランの炎』 ボワロ=ナルスジャック サンリオ 『織姫かえる』 泡坂妻夫 文藝春秋 久しぶりの古本買いである。宝引の辰捕者帳の最終巻は文庫落ちを待っていたのだが、もういい加減待てなくなってしまった。

『ランポール弁護に立つ』 J・モーティマー 河出書房新社

●『ランポール弁護に立つ』 J・モーティマー 河出書房新社 読了。 法曹界を舞台に、様々な人生模様をちょっとした皮肉とユーモアとを交えて描く人情噺、ってなところ。登場人物達の個性が際立っているし、ちょいちょい笑えるところもあるしで、読んでいて退…

『紫甚左捕物帳』 横溝正史 今日の問題社

●『紫甚左捕物帳』 横溝正史 今日の問題社 読了。 十一月に捕物出版から刊行予定の『不知火捕物双紙』に、紫甚左も収録されるという。そっちで読んでもいいのだが、せっかく買ったのだからこっちで読む。収録作は紫甚佐シリーズの二編「富籤五人男」、「妻恋…

八人の招待客

●電車に乗って街に出て、書店に寄って本を買う。 『八人の招待客』 Q・パトリック 原書房 ●今回出かけた目的は、本の購入以外にふたつある。某施設を覗いてみることと、某美術館の展示を観ること。ところが途中で気が変わった。散歩がてら某施設の場所だけ…

『蘭郁二郎探偵小説選I』 論創社

●『蘭郁二郎探偵小説選I』 論創社 読了。 からりとして明るいトーンの文章がやけに読みやすい。論創ミステリ叢書で時々出くわす、妙にねちこい文章や文学臭をまとわりつかせた文体に比べると、もうそれだけで好感が持てる。 月澤俊平シリーズが、予想以上の…

『大はずれ殺人事件』 C・ライス ハヤカワ文庫

●『大はずれ殺人事件』 C・ライス ハヤカワ文庫 読了。 安心して楽しく読める、ライス印の秀作。序盤は、単純なテーマのように思える。殺人予告を公言した人物が、その後実際に発生した殺人事件の犯人かどうか。ところが物語はたちまちのうちに発展し、拡散…

『キャッスルフォード』 J・J・コニントン 論創社

●『キャッスルフォード』 J・J・コニントン 論創社 読了。 途中で大まかな真相に気付いてしまったので、意外さは感じなかった。けれど、ミステリを面白くする要素が存分に詰め込まれており、読んでいる間はとても充実した時間であった。その要素とはたとえ…

『正木不如丘探偵小説選II』 論創社

●『正木不如丘探偵小説選II』 論創社 読了。 長編「血の悪戯」がなかなか快調。大平刑事とダンサー宵の明星との会話が、思いがけず軽快でさくさく読める。どことなく漂うとぼけた味わいも好ましい。大平の隣室に住んでいる、病院からこっそり脳みそを持ち…

『恐怖通信』 中田耕治編 河出文庫

●『恐怖通信』 中田耕治編 河出文庫 読了。 バラエティに富んで上出来な怪奇小説アンソロジー。気に入った作品を、一言だけコメントを添えて並べる。 まあそうなるわな、とは思うが捻りの存在そのものが嬉しい、オーガスト・ダーレス「幽霊」。些細な記述が…

『でかした、ジーヴス!』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会

●『でかした、ジーヴス!』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会 読了。 構成の妙を味わう作品集。伏線や物事相互の意外なつながりの面白さは、ミステリに通じるものがある。だが、ジーヴスが問題を解決する手際の鮮やかさ意外さは、名探偵が難事件を解決する手…