2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧
●取り寄せを依頼していた本を受け取ってきた。 『石を放つとき』 L・ブロック 二見書房 長編と短編集と、二冊の合本だそうである。だが長編といっても百五十ページしかない。短編集の方は傑作集のようで、十一編全て既訳だしうち九編はいくつかの文庫に収録…
●『ザ・ハードボイルド ものにこだわる探偵たち』 馬場敬一 CBS・ソニー出版 読了。 ハードボイルド・ミステリに登場する様々な物を題材にして、作品の引用を交えて蘊蓄を語る。題材は多岐にわたり、ほんの一例だが酒ならバーボン、ライ、スコッチ。煙草…
●『保篠龍緒探偵小説選I』 論創社 読了。 収録作中で最も気に入ったのが「襲はれた龍伯」で、ちょっとした捻りが盛り込まれている。次点は「指紋」で、ヘイコラした子分格だと思っていた人物が意外な活躍を見せる。 冒頭の二長編、「妖怪無電」と「紅手袋」…
●『ねらわれた女子高校生』 園生義人 春陽文庫 読了。 歌手志望の高校生凪ユカ子。彼女の家族と芸能関係の人々。そんな登場人物達が入れ替わり立ち替わり物語をつむいでゆく。こういうのを明朗小説というのだろうか。恋と嫉妬と痴話喧嘩。誤解と嘘とすれ違い…
●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第八回として、第二巻を読み進める。今回読むのは、「シヤアロツク・ホウムズの冒險」の後半六編である。訳者は延原謙。いまさら感想でもないので、いくつかコメントだけしておく。 「青い紅玉」にて、髯を…
●『煙で描いた肖像画』 B・S・バリンジャー 創元推理文庫 読了。 十年前、豪奢な生活を求めて家出したクラッシー。その十年後、偶然彼女の写真を手に入れたダニー。彼はクラッシーの写真に魅了され、今の彼女を見つけようと決意する。 行方不明の人間を探…
●光文社文庫の江戸川乱歩全集『ぺてん師と空気男』から、「電人M」を読む。せっかく、メインの怪人である電人の他にタコ怪人という異形の者を出しておきながら、そいつらは場の賑やかしにしかなっていないようで。乱歩の意図がよく分からない。 シリーズと…
●『ドイル傑作選II』 翔泳社 読了。 収録作中のベストは「大空の恐怖」であった。地球のはるか上空に未知の浮遊生物が棲んでいるという発想が気に入った。その昔まだラヴクラフトを喜んで読んでいた頃のときめきを思い出す。次点は「競売ナンバー二四九」…
●『横溝正史探偵小説選V』 論創社 読了。 「探偵小僧」 松野一夫の挿絵が凄い。毎回毎回わずが四、五行の本文から、文字通り絵になる瞬間を抽出して挿絵に仕立てている。描かれている人々の表情も動きも、なんと活き活きしていることか。 内容は探偵小僧と…
●『シャーロック・ホームズ アンダーショーの冒険』 D・マーカム編 原書房 読了。 四巻から成る大部のホームズパスティシュアンソロジーから精選した作品集だそうで。編者デイヴィッド・マーカムの手になる「質屋の娘の冒険」は、いかにもパスティシュらし…
●『大河内常平探偵小説選II』 論創社 読了。 戦争と貧困と病苦と麻薬と。陰か陽かで言えば間違いなく陰の作風である。湿っぽさがしんどくて一気に通読出来ず、間に一日別の本を挟んで、読了まで四日もかかってしまった。 中編「松葉杖の音」は、結末を読む…
●『トム・ソーヤーの探偵・探検』 M・トゥエイン 新潮文庫 読了。 「トム・ソーヤーの探偵」 予想外の秀作。あっぱれ定石通りのミステリに仕上がっている。トムはご立派な名探偵ぶりを発揮しているし、意外な真相もきっちり盛り込まれている。サスペンスも…
●『悔恨の日』 C・デクスター ハヤカワ文庫 読了。 読んでいる途中で犯人も真相も、その仮説がくるくると変わってゆく。これぞデクスターである。だが今回は六百ページに近い分量なので、いくら仮説が変わるといっても物語の密度はちと低め。最後の真相に至…