累風庵閑日録

本と日常の徒然

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ドラマ原作「花髑髏」

●昨日一般発売になったはずの、論創海外の新刊がまだ届かない。直販でお願いしているから、いつもなら発売前に届くはずである。物流全般の混乱の問題なのか、私向け発送の固有の問題なのか。もう数日待って届かなかったら、問い合わせてみる。 ●昨日に続いて…

『わが職業は死』 P・D・ジェイムズ ハヤカワ文庫

●『わが職業は死』 P・D・ジェイムズ ハヤカワ文庫 読了。 登場人物に対しても周囲の情景に対しても、執拗な描写が積み重ねられる。根気も集中力も長続きしなくなっている今、みっしりと書き込まれた五百ページは、しんどい。読了するのに四日もかかってし…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第二回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二回をやる。今回は第一巻の収録作から「四人の署名」を読む。訳者は延原謙である。前回読んだのは十二年前。この作品は読む度にだんだん好きになってくる。 コンパクトな中に怪奇冒険スリラーの要素が詰…

ひとまず中断

●別冊幻影城の日影丈吉の巻から、「真赤な子犬」を読んだ。徳間文庫で復刊された時に、いいタイミングだから読もうと思ったのだが、実行しないままあっという間に二年が経ってしまった。ここでひとまず中断し、他の収録作は来月に回す。感想を書くのは通読し…

『死への旅』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『死への旅』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 巻末解説には、おだやかなスパイ冒険小説とある。全くその通りで、ずいぶんと平板なスパイスリラー。と言いたいところだが、スリラーと名乗れるようなスリルの要素はほとんどない。あまりネガティブ…

『少年ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『少年ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 個人的な事情もあって、森村誠一「魔少年」が収録作中のベスト。何年も昔、テレビドラマになったやつを観た。その時のぼんやりと曖昧な記憶を前提に読み進めていったら、真相は思ってい…

『北町一郎探偵小説選II』 論創社

●『北町一郎探偵小説選II』 論創社 読了。 冒頭四編の防諜小説は、私の好みから遠く遠く隔たっている。ただ読んだだけ、というより、目が活字の上を滑っていっただけである。作品から何か読み取るべき要素もあるかと思うが、そういうのは研究家や評論家に…

知りすぎた男

●久しぶりに、少々大きめの書店を覗いた。周囲に膨大な本がある空間は、やはり沁みる。そこで買った本。 『知りすぎた男』 G・K・チェスタトン 創元推理文庫 すでに論創海外で読んでいる作品だが、別の訳でも読んでみたくなった。それはそうと、個人的に最…

『シャーロック伯父さん』 H・ペンティコースト 論創社

●『シャーロック伯父さん』 H・ペンティコースト 論創社 読了。 主人公の少年ジョーイ・トリンブルと探偵役のジョージ・クラウダ―伯父さんとが、数々の事件に遭遇する。こういう人物配置とジョージ伯父さんの造形とが、ポーストのアブナー伯父を連想させる…

『千葉淳平探偵小説選』 論創社

●『千葉淳平探偵小説選』 論創社 読了。 面白い。収録作の味わいの、バラエティに富んでいること驚くばかりである。オーソドックスな本格ミステリ、艶笑譚風ミステリ、通俗ハードボイルド風、いわゆる「足の探偵」の堅実な作風、犯罪サスペンス、素朴ではあ…

殺人者は一族の中に

●注文していた本が届いた。 『殺人者は一族の中に』 D・エームズ 風詠社 実は、ふたつのネットショップに一冊ずつ注文していた。どちらの店も、在庫がなくて出版社からの取り寄せ扱いである。最初の店は、一定期間のうちに入荷されない場合は注文がキャンセ…

第三回オンライン飲み会

●第三回オンライン飲み会を開催した。参加者は瞬間最大で十名。ご新規さんが三名様いらっしゃって、ありがたいことである。今回のテーマは、データ共有である。各自の手元にある画像データ、動画データを、「たくのむ」で問題なく共有できることを確認した。…

『ヒルダ・アダムスの事件簿』 M・R・ラインハート 論創社

●『ヒルダ・アダムスの事件簿』 M・R・ラインハート 論創社 読了。 中編が二編収録されている。「バックルの付いたバッグ」は、失踪事件にまつわる奇妙なサスペンス。ロジックの興味には乏しく、状況の異様さと先の展開への興味とで読ませる。 作者が仕掛…

『死が二人を別つまで』 鮎川哲也 角川文庫

●『死が二人を別つまで』 鮎川哲也 角川文庫 読了。 鮎川哲也名作選の第八巻である。伏線とロジックの面白さを主眼とする作品は、あまり短いとどうもあっけなさすぎるようだ。 「汚点」 過去に仙台で五年暮らしたので、メインのネタには早い段階で気付いた。…

『サイモン・アークの事件簿IV』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サイモン・アークの事件簿IV』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 一冊の本の感想は、ただその一冊の内容だけで定まるものではない。現在その時の気分や体調にも左右されるし、直前にどういう本を読んだかにも大きく影響を受ける。どうにも薄味だった…

『千代有三探偵小説選I』 論創社

●『千代有三探偵小説選I』 論創社 読了。 全体的に、どうも薄味。ロジックの興味も外連味もサスペンスも、豊富とは言い難い。辛気臭いブンガク趣味もまた少ないのはありがたいけれども。 読んでいると期待値がどんどん下がってくる。そのおかげで、わずかで…