累風庵閑日録

本と日常の徒然

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:六冊読んだ本:十一冊買った本は出版社直販と私家版のネット通販ばかりで、リアル書店で買った本は一冊もないのであった。

『探偵物語』 別役実 大和書房

●『探偵物語』 別役実 大和書房 読了。 奇妙な理屈がぐるぐる回っていて、不思議な味わい。特に第一話と第二話とは、いったいどのように受け止めればいいのかさっぱり分からない。 第三作「監視人失踪事件」に至ってようやく、かなり特異な内容ではあるがミ…

『バスティーユの悪魔』 E・ガボリオ 論創社

●『バスティーユの悪魔』 E・ガボリオ 論創社 読了。 「悪魔」エグジリの造形が魅力的。毒薬と毒殺手段とに通暁することで人の死を支配し、生を支配する神と並び立っていると豪語する怪人。彼が使う毒ははぼ魔法と同等である。 だが、途中で主人公の座を入…

『藤雪夫探偵小説選I』 論創社

●『藤雪夫探偵小説選I』 論創社 読了。 その作風は、素朴で堅実。ネタが素朴なので、「指紋」も「辰砂」も「黒水仙」も、途中で真相に気付いてしまった。またこの作者殿は、独特のリズムをお持ちらしい。スピーディーに話を転がした方が良さそうなクライマ…

『ポジオリ教授の事件簿』 T・S・ストリブリング 翔泳社

●『ポジオリ教授の事件簿』 T・S・ストリブリング 翔泳社 読了。 全体に奇妙さが漂う短編集の秀作であった。 たとえば「警察署長の秘密」の、盗難事件が起きたら警察が必ず現金だけを取り戻す町。「靴下と時計の謎」の、屋敷に押し入って靴下だけを奪って…

第一回オンライン横溝読書会

●第一回オンライン横溝読書会を開催した。課題図書は由利先生物の「白蝋変化」。昭和十一年四月に連載が始まった作品である。参加者は私を含めて四名。こぢんまりとした会になった。 ●会ではネタバレ全開だったのだが、このレポートでは当然その辺りは非公開…

『花髑髏』 横溝正史 角川文庫

●『花髑髏』 横溝正史 角川文庫 読了。 表題作「花髑髏」は先日読んで、感想を日記に書いた。中編「焙烙の刑」は、腰が抜けるほどのオチが凄まじい。今回のドラマ化では原作として採用されなかった。仮にドラマに人気が出て続編が作られるにしても、この内容…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第三回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第三回をやる。今回は第一巻の収録作から「バスカーヴイルの犬」を読む。訳者は延原謙である。今までに何回も読んでいるから、さすがに内容は大体憶えている。そんな状態で読むと、構成の上手さに感心する。…

『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『森下雨村 小酒井不木 ミステリー・レガシー』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 森下雨村「丹那殺人事件」は、一年半ほど前に論創ミステリ叢書で読んだ。今回は再読だけれども、十分に面白い。その時の感想をほぼそのまま再掲しておく。 一歩一…

『死のとがめ』 N・ブレイク ポケミス

●『死のとがめ』 N・ブレイク ポケミス 読了。 関係者の会話の断片や周辺状況に関して、ストレンジウェイズが恋人のクレアやライト警部を交えてディスカッションするのが、読んでいて楽しい。ちょいと入り組んだ状況が次第にほぐれてゆく様が、読んでいて楽…

『千代有三探偵小説選II』 論創社

●『千代有三探偵小説選II』 論創社 読了。 わずか数ページの探偵クイズのような作品が多く、ちと物足りない。そんな作品の中にも気に入ったものはあったけれども。以下、個別の作品に簡単なコメントを付けておく。 事件も真相も奇天烈な「雪男雨女」、この…

『ブロの二重の死』 C・アヴリーヌ 創元推理文庫

●『ブロの二重の死』 C・アヴリーヌ 創元推理文庫 読了。 瀕死の重傷を負って自宅で発見された、殺人課課長のフレデリック・ブロ。だがその傍らには、死体となったブロが横たわっていた。突拍子もないオープニングである。捜査が進むにつれて、この空想めい…

『藤村正太探偵小説選II』 論創社

●『藤村正太探偵小説選II』 論創社 読了。 月曜火曜と読んでふと気まぐれで中断し、水曜木曜と高木彬光に寄り道してから戻ってきた。 「原爆の歌姫」は、分刻みで関係者の行動表を作るような展開が楽しい。真相は、犯人当て企画だったらまあこうなるだろう…

『悪魔の山』 高木彬光 神月堂

●『悪魔の山』 高木彬光 神月堂 読了。 私家版の、単行本未収録ジュブナイル集である。いい歳したおっさんが読んで面白がれる内容ではないが、こういうのはまず読めるということ自体に価値がある。 内容が他愛なくとも、展開の速さは味わうべきポイントと言…

バスティーユの悪魔

●一昨日届かないと書いた本が届いた。 『バスティーユの悪魔』 E・ガボリオ 論創社 たかが数日の違いなのにやきもきしてしまう。どうも悪い癖である。