累風庵閑日録

本と日常の徒然

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:十一冊読んだ本:十一冊 文フリがあると当然のように購入数は増えてしまう。

「怪の物」

●学研M文庫の『ゴシック名訳集成 西洋伝奇物語』を手に取った。五百ページのこの本を一気に通読するのはしんどいので、来年にかけて細切れで読んでいこうと思う。 まずはエドモンド・ドウニイ「怪の物」を読む。あやしのもの、と振り仮名がしてある。要する…

偏愛横溝短編を語ろう

●ツイッターのスペース機能を使って、「偏愛横溝短編を語ろう」という企画を不定期に開催している。複数の語り手が参加して、一般的な評価や知名度に関係なくただただ自分が好きな作品の魅力を語る企画である。 今までに三回実施し、各回ともだいたい五人程…

『<アルハンブラ・ホテル>殺人事件』 I・オエルリックス 論創社

●『<アルハンブラ・ホテル>殺人事件』 I・オエルリックス 論創社 読了。 割と地味な事件が途中から、(伏字)による殺人なんて趣向になってくる。ところがその方向で不可能興味を前面に出して盛り上げるかと思いきや、そうでもなく。物語の力点は、準主人…

東京文学フリマ

●東京文フリでお手伝い、兼委託本の頒布をしてきた。そこで買った本。『CRITICA vol.16』 探偵小説研究会編著『不思議の達人(上)』 G・バージェス ヒラヤマ探偵文庫『虹の秘密』 加藤朝鳥 ヒラヤマ探偵文庫『姿なき祭主』 G・ブリストウ&…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第十九回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十九回として、引き続き第四巻を読んでゆく。今回は、医者とその周辺とを題材にした短編集「紅き燈火を繞りて」から、後半の六編である。 面白かったのは、音と声とで読者の想像を刺激しながらじわじわと…

『ねずみとり』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『ねずみとり』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 戯曲である。以前小説版を読んでいたので、真相に対する驚きは無い。けれども初読なら十分楽しめると思う。全体としてクリスティーの上手さに感心する。そもそも、吹雪に閉じ込められた旅館に個性…

『悪の断面』 N・ブレイク ハヤカワ文庫

●『悪の断面』 N・ブレイク ハヤカワ文庫 読了。 田舎のホテルに滞在している科学者一家。外国のスパイが科学者の発明を狙っていた。やがてスパイ組織は彼の娘を誘拐し、発明を渡すよう脅迫してきた。 敵側の一味は最初から明らかにされている。メインの謎…

『その死者の名は』 E・フェラーズ 創元推理文庫

●『その死者の名は』 E・フェラーズ 創元推理文庫 読了。 デビュー作にしてこんな、(伏字)い結末を持ってくるとは、さすがフェラーズである。記しておきたいことは主に真相と結末についてなので、今日の公開日記はこれだけ。

『毒の矢』 横溝正史 角川文庫

●『毒の矢』 横溝正史 角川文庫 読了。 今晩十八時から「毒の矢」の朗読ライブが開催されるのに向けて予習しておく。ついでに同時収録の「黒い翼」も再読して、本一冊読んだことにする。 前回読んだのは八年前。光文社文庫から出た『金田一耕助の帰還』に収…

『九つの銅貨』 W・デ・ラ・メア 福音館文庫

●『九つの銅貨』 W・デ・ラ・メア 福音館文庫 読了。 全十七編を収録した童話集から五編を選んだそうで。出てくる人間達はそれぞれ個性豊かである。たとえば妖精の跳梁に腹が立つあまりノイローゼになった男。他人の幸せが憎くてしょうがない老人。一生を家…

「怪人と少年探偵」

●光文社文庫の江戸川乱歩『怪人と少年探偵』を、年明けくらいまでかけて細切れに読んでいくことにする。今日は表題作を読んだ。少年探偵団シリーズってのはこんな話、というテンプレートみたいな作品。単行本初収録だというから、ともかく読めるという意義は…

『もうひとりのぼくの殺人』 C・ライス 原書房

●『もうひとりのぼくの殺人』 C・ライス 原書房 読了。 途中までは、どうも捉えどころのない作品であった。主人公が殺人の容疑で警察に追われる身となる。ところが実際に疑いがかかっているのは、全く記憶にない別人としてであった。自分は二重人格で、無自…

『エラリー・クイーンの国際事件簿』 E・クイーン 創元推理文庫

●『エラリー・クイーンの国際事件簿』 E・クイーン 創元推理文庫 読了。 犯罪実話にはあまり興味がない。悲惨で陰惨で無惨な現実の犯罪の、どこをどのように面白がればいいのか。殺人が面白いのは、架空だからこそである。たまにでくわす犯罪実話は、読むの…

『ノー・ネーム』 W・コリンズ 臨川書店

●『ノー・ネーム』 W・コリンズ 臨川書店 読了。 裕福な貴族の娘だとばかり思っていたのに、実は私生児だと判明した主人公マグダレンとその姉ノラ。題名は、私生児なので一族の姓を名乗る資格がない、すなわち名前がないという意味。 父親が死んだとき、彼…