2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧
●独り部屋にこもって年を越すのが嫌だったので、ちょいと出かけることにする。独りビジネスホテルにこもって年を越すのである。 という取り組みを今まで何年もやってきたのだが、去年はあの伝染病のせいでやむを得ず自宅にこもった。今年は今のところウイル…
●『文藝別冊 岡本綺堂』 KAWADE夢ムック 読了。 半七捕物帳の原型版だの戯曲版だのが貴重。それとは別に、収録されている怪談がしみじみと不気味。 ●定期でお願いしている本が届いた。『霜月信二郎探偵小説選』 論創社『ピーター卿の遺体検分記』 D・…
●『魔の配剤』 O・クック ソノラマ文庫 読了。 巻末解説によると、ハーバート・ヴァン・サールが編纂した二十二編収録の怪奇小説アンソロジーから十二編を選んだものだそうで。ついでに、序文では「拷問にまつわる話、常軌を逸するサディズムの話、残酷きわ…
●『日本の歴史をよみなおす(全)』 網野善彦 ちくま学芸文庫 読了。 日本に関する新鮮な観方を教えてくれるエキサイティングな本であった。とうてい要約することはできないので、いくつかの章を例として挙げておく。 第三章「畏怖と差別」では、国宝の絵巻…
●『ミステリアス・クリスマス』 パロル舎 読了。 題名の通り、クリスマステーマの怪奇小説アンソロジーである。もう何年も前から、この季節になると読もう読もうと思いながら幾星霜。今年になってようやく読めた。 気に入った作品は以下のようなところ。民話…
●『銀座ミステリー傑作選』 三好徹他 河出文庫 読了。 テーマアンソロジーは、どうかすると似たような味の作品ばかりになってしまう。本書のくくりは「銀座」という緩いものなので、多様な作品を飽きずに楽しめた。 気に入った作品はこんなところ。語り口が…
●光文社文庫の江戸川乱歩『怪人と少年探偵』を、年明けくらいまでかけて細切れに読んでいくことにする。今日は「妖星人R」を読んだ。 シリーズのこれまでの作品では、怪現象はひとつひとつ理論で説明されていた。それがときには机上の空論めいた理論である…
●『新・餓狼伝 巻之五』 夢枕獏 フタバノベルス 読了。 積ん読だった巻之三から巻之五まで、二日間で一気読み。出てくる格闘家達が人間離れした超人なので、どうかすると読んでいて白々しくなりそうなところ、このシリーズはこっちが醒める間もなく大変な熱…
●『青の殺人』 E・クイーン 原書房 読了。 巻末解説によると、実際の作者はE・D・ホックだそうで。さすが才人ホック、なんともそつなく私立探偵小説風の味わいに仕立てている。こういうタイプのミステリは久しぶりなので、もうそれだけで新鮮で嬉しい。典…
●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二十回として、引き続き第四巻を読んでゆく。今回は、中編「コロスコ號の悲劇」を読む。 ナイル川観光船「コロスコ號」が、回教徒に襲撃された。捕虜になった観光客一行は炎熱の砂漠のなかを、何処へとも…
●『マイアミ沖殺人事件』 D・ホイートリー 中央公論社 読了。 新刊当時、喜んで買ってすぐに読んだ。読了後は、こんな手がかりで分かるわけないだろ、と釈然としない思いが残ったものだ。それが今になってなぜ再読か。ながらく積ん読だった全四巻の捜査ファ…
●『暴徒裁判』 C・ライス ポケミス 読了。 展開の速さと広がりとがただ事ではない。題名にあるように暴徒が関わってきてマローン一行に危機が迫るのだが、緊迫感よりも物語を転がすスピード感が優先されているようだ。 造形が際立っているキャラクターが多…
●『納骨堂の多すぎた死体』 E・ピーターズ 原書房 読了。 題名の通り、納骨堂で発見された死体を巡るミステリである。だが、作者の力点は事件と同程度に、思春期の少年の揺れ動く心情と親子の絆とにも注がれているようだ。申し訳ないがそういうのは求めてい…
●『子供たちの探偵簿3 夜の巻』 仁木悦子 出版芸術社 読了。 長編「灯らない窓」は、大人と子供とがそれぞれ事件に取り組む様子が交互に綴られる。片方しか知らない情報もあれば、両方同じ対象を観ているのに視点が異なる情報もある。ふたつのアプローチが…