累風庵閑日録

本と日常の徒然

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:十一冊読んだ本:十冊 某所発行の私家版書籍がまだ届かない。どうやら既に発行されてはいるようなのだが。やきもきすることである。

『家蠅とカナリア』 H・マクロイ 創元推理文庫

●『家蠅とカナリア』 H・マクロイ 創元推理文庫 読了。 充実した読書時間であった。多くの伏線とそれらの解釈とが本書の魅力のひとつ。結末で、あの記述にはそんな意味があったのかと判明する面白さよ。中でも作者が前面に出して題名にもなっている、家蠅と…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第十二回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十二回として、第三巻を読み始める。今回は「シヤアロツク・ホウムズの想ひ出」から、前半の六編を読んだ。 今更ホームズものの感想でもないから少しだけ。「白銀號事件」は過去に何度も読んだからミステ…

『正直者ディーラーの秘密』 F・グルーバー 論創社

●『正直者ディーラーの秘密』 F・グルーバー 論創社 読了。 毎度おなじみ、といった趣でさっと読めるお手軽編。物語の軽快さとキャラクターの面白さとを楽しむ作品である。キャラクターの例としては、異色の経歴を持つ警官で通称生け捕りのマリガン、ジョニ…

『<羽根ペン>倶楽部の奇妙な事件』 A・R・ロング 論創社

●『<羽根ペン>倶楽部の奇妙な事件』 A・R・ロング 論創社 読了。 登場人物の造形がお見事。語り手のパイパーは現実的でユーモアもあり、欠点も含めて自分自身を冷静に把握している。ちょっとした虚栄心や真相に対する好奇心や、不安や恐れといった心の動…

『鉄道エッセイコレクション』 芦原伸編 ちくま文庫

●『鉄道エッセイコレクション』 芦原伸編 ちくま文庫 読了。 「「読み鉄」への招待」という副題が付いている。列車、駅、時刻表といったテーマ毎にそれぞれいくつかのエッセイを収録したアンソロジーである。この手の本を読むとき、日本各地の鉄道が通ってい…

『渡辺啓助探偵小説選I』 論創社

●『渡辺啓助探偵小説選I』 論創社 読了。 昨日の日記に書いたノンフィクションを少し読んだら気分が変わったので、予定を変更してこっちを読み終えることにした。ねっとりとした変格探偵小説の書き手というイメージだったが、本書では予想外の軽妙な作風が…

リハビリとしてのノンフィクション

●あともう少しで一冊読み終えるところで、頭がフィクション疲れを起こしてしまった。残りは数十ページしかないが、もう読めない。架空の物語を頭に受け入れる気にならない。リハビリのため、ノンフィクションを手に取ることにする。フィクションとノンフィク…

『前後不覚殺人事件』 都筑道夫 光文社文庫

●『前後不覚殺人事件』 都筑道夫 光文社文庫 読了。 散りばめられた雑学は楽しく、文体の工夫やちょっとした仕掛けには感心する。いかにも都筑道夫らしい懲り様である。だがこの真相はちょっとどうも…… 滝沢紅子シリーズはこの一冊しか手元に無い。面白かっ…

『不思議を売る男』 G・マコーリアン 偕成社

●『不思議を売る男』 G・マコーリアン 偕成社 読了。 ふとしたことから古道具屋で働き始めた奇妙な男、MCC・バークシャー。店を訪れた客が売り物に興味を示す度に、彼はその品物にまつわる物語を語りだす。という設定の連作短編集。全体を覆う枠組みがひ…

『鮎川哲也探偵小説選II』 論創社

●『鮎川哲也探偵小説選II』 論創社 読了。 「冷凍人間」 犯罪組織を抜けようとして制裁された男。製氷会社の冷凍室で凍死させられそうなところを、彼は危うく逃げ出す。しかしその影響で体が凍ったままの冷凍人間になってしまった。組織に対する冷凍人間の…

『一瞬の敵』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫

●『一瞬の敵』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫 読了。 家出した娘を連れ戻して欲しい。そんな単純な依頼は、読み進めるにしたがって次第に様相を変えてゆく。事件は拡大し複雑化し、多くの人の関わりが見えてくる。主人公リュウ・アーチャーは現在進行形の事…

『川野京輔探偵小説選I』 論創社

●『川野京輔探偵小説選I』 論創社 読了。 艶笑小咄に濃い目のグロテスク風味を利かせて探偵小説の器に盛りました、といった塩梅の作品集。残念ながら私の好みではなかった。ただ、文章の読みやすさは評価したい。偉そうで申し訳ないけれども。さっと読めて…