累風庵閑日録

本と日常の徒然

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ボニーとアボリジニの伝説

●今読んでいる長編小説がはちゃめちゃに面白い。予定では読了までに十日かかるはずだったが、あまりの面白さにページがぐいぐい進む。この分だとあと三日、トータル八日間で読了できそうな勢いである。 ●定期でお願いしている本が届いた。 『黒き瞳の肖像画…

更新できない

●今日から上中下三巻本の長編を読み始める。千五百ページほどあるこいつを読むのに、私のペースでは十日ほどかかるだろう。そのため、当分の間読了日記の更新はできなくなる。あしからず。

『消える魔術師の冒険』 E・クイーン 論創社

●『消える魔術師の冒険』 E・クイーン 論創社 読了。 ラジオドラマ集第四弾である。今回はなんと脚本から直接訳したそうで。こんな本が読めるのも熱心な研究者、翻訳者のおかげである。 収録作中のベストは「不運な男の冒険」で、意外性も十分だし(伏字)…

『キング・コング』 E・ウォーレス/M・C・クーパー 角川文庫

●『キング・コング』 E・ウォーレス/M・C・クーパー 角川文庫 読了。 原作小説ではなく脚本からのノベライズである。巻末解説によれば実際の筆者はデロス・W・ラブレーだそうで。どのバージョンであれ映画を観たことがないので、本書で初めてキング・コ…

『嘘は刻む』 E・フェラーズ 長崎出版

●『嘘は刻む』 E・フェラーズ 長崎出版 読了。 途中まではちとしんどかった。好みではない展開である。裏面の事情を知っている者が、それを喋らないことで物語を維持する作劇法は嫌いだ。ここに手がかりがあるけど今は詳しいことを読者に教えない、なんて書…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第十五回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十五回として、第三巻の続きを読む。今回は「歸つて來たシヤアロツク・ホウムズ」から、後半の六編を読んだ。 簡単なコメントをすこしだけ。「第二の血痕」の幕切れの台詞がカッチョイイ。「踊る人形」の…

Q夫人と猫

●今日は本を読まずに小休止。今月は順調に本を読めていたのだが、ちょいと読み過ぎて頭がフィクション疲れを起こしてしまった。それに、昨日開催されたオンライン横溝正史読書会のレポートを書く時間も必要である。 レポートの進捗は、録音データの文字起こ…

第七回オンライン横溝正史読書会『蝶々殺人事件』

●第七回オンライン横溝正史読書会を開催した。課題図書は『蝶々殺人事件』で、昭和二十二年から翌年にかけて雑誌『ロック』に連載された作品である。参加者は私を含めて十名。早い段階で参加枠が全て埋まる盛況であった。 ●会ではネタバレ全開だったのだが、…

『ネロ・ウルフの災難 外出編』 R・スタウト 論創社

●『ネロ・ウルフの災難 外出編』 R・スタウト 論創社 読了。 安定の面白さでさくさく読める。ウルフとアーチーのキャラクターを楽しみ、ふたりの間に交わされる会話を楽しむ、という読み方をしている。緻密なロジックや巧妙な伏線は無いけれども、それが欠…

『佐左木俊郎探偵小説選II』 論創社

●『佐左木俊郎探偵小説選II』 論創社 読了。 佐左木俊郎のファンや研究者にとっては大きな意義のある本であろう。巻末エッセイや編者解題を読むと、この本が実に丁寧に作られていることが分かる。だが、残念ながら好みに合って面白く読めた作品は少ない。 …

『キング・コングのライヴァルたち』 M・パリー編 ハヤカワ文庫

●『キング・コングのライヴァルたち』 M・パリー編 ハヤカワ文庫 読了。 フィリップ・ホセ・ファーマー「キング・コング墜落のあと」は、キング・コング事件が現実に起きたという設定で、事件に関係した人間達の右往左往と、事件に関係なく営まれる日常とを…

『魔術師が多すぎる』 R・ギャレット ハヤカワ文庫

●『魔術師が多すぎる』 R・ギャレット ハヤカワ文庫 読了。 科学技術の代わりに魔法が幅を利かしている現代ロンドンで、魔法によって封印された部屋で起きる密室殺人。謎解きミステリとして成立するように、魔法でできることにきちんと制限を設けてある。そ…

『探偵小説五十年』 横溝正史 講談社

●『探偵小説五十年』 横溝正史 講談社 読了。 ちゃんと読んでない気がしたので、読んだ。「途切れ途切れの記」正・続編が面白い。読みながら数々の「たられば」を想像していた。乱歩との相性がもう少し悪く、「トモカクスグコイ」の電報がなければ、正史は投…

『秘められた傷』 N・ブレイク ポケミス

●『秘められた傷』 N・ブレイク ポケミス 読了。 二部構成の前半は、言っちゃあ悪いが特に特徴のないメロドラマ。祖国アイルランドを訪れた英国人作家が、ふとしたことから西部の寒村に滞在することになる。そこでの日々の生活と、周囲の人々との関係が語ら…

『怪盗ニック全仕事2』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『怪盗ニック全仕事2』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 気に入った作品は以下のようなところ。何を盗むかこそがポイントの「空っぽの部屋から盗め」、伏線がしっかりしている「サーカスのポスターを盗め」、展開の起伏がお見事な「石のワシ像を盗め」…