累風庵閑日録

本と日常の徒然

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●横溝正史読書会のレポートを、二十九日の日付でアップした。 ●今月の総括。買った本:四冊読んだ本:十二冊 快調である。

 『ドイル全集4』 C・ドイル 改造社

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二十一回として、長編「ロドニー・ストーン」を読んだ。老年に達した主人公ロドニーの回想形式で語られる、少年の成長物語である。そこには無為徒食する貴族階級への冷めた視線や、むき出しの愛国心、無邪…

第九回オンライン横溝正史読書会「迷路の花嫁」

●第九回オンライン横溝正史読書会を開催した。課題図書は『迷路の花嫁』。昭和二十九年に新聞に連載された作品である。参加者は私を含めて十人。会ではネタバレ全開だったのだが、このレポートでは当然その辺りは非公開である。なお各項目末尾に数字が付され…

『迷路の花嫁』 横溝正史 角川文庫

●『迷路の花嫁』 横溝正史 角川文庫 読了。 今度の土曜に開催されるオンライン横溝正史読書会の課題図書である。詳細は読書会レポートにまとめる。 ●書店に寄って雑誌を買う。『ミステリマガジン 3月号』 早川書房 クリスティー晩年の戯曲が目当て。

『生ける寶冠/孔雀の樹』 ドウーゼ/チエスタートン 春陽堂

●『生ける寶冠/孔雀の樹』 ドウーゼ/チエスタートン 春陽堂 読了。 昭和五年刊の、探偵小説全集第十一巻である。ドウーゼ「生ける寶冠」は、主人公レオ・カリングが不可思議な宝冠盗難事件に取り組む長編。他人の素性をズバリと言い当てて度肝を抜くカリン…

『嘆きの探偵』 B・スパイサー 論創社

●『嘆きの探偵』 B・スパイサー 論創社 読了。 警官を殺した銀行強盗犯人を追って、ミシシッピ川を下るクルーズ船に乗り込む主人公。私立探偵と船上ミステリとの組み合わせが興味深い。ミシシッピ川に関する歴史的背景が面白いし、たとえばアシスタントパー…

『奇想の森』 鮎川哲也/島田荘司編 立風書房

●『奇想の森』 鮎川哲也/島田荘司編 立風書房 読了。 日本ミステリの精選集だという全五巻のアンソロジー「ミステリーの愉しみ」の、第一巻である。なるほど収録作は粒揃いである。粒揃いとは、過去のアンソロジーにも収録された名作が多いってことで。それ…

『シャーロック・ホームズを訪ねたカール・マルクス』 A・ルカーユ 中央公論社

●『シャーロック・ホームズを訪ねたカール・マルクス』 A・ルカーユ 中央公論社 読了。 若き日のホームズが、マルクスの命を狙う暗殺者を阻止するためにパリに潜入する。年代設定は千九七一年で、研究家諸氏の説によれば「グロリア・スコット」よりも前らし…

『魔術師を探せ!』 R・ギャレット ハヤカワ文庫

●『魔術師を探せ!』 R・ギャレット ハヤカワ文庫 読了。 ダーシー卿ものの中編集である。このシリーズは、魔法関連の設定がひとつの読みどころ。魔法が万能だとつまらないので、ミステリとして成立するよう様々な制約を設けている。その辺りの理論の遊びが…

『ビッグ4』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『ビッグ4』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 ぼんやりと世評は知っていたので、期待値低めで手に取った。あらかじめそういう態度で臨んでも、こいつはちと厳しい。謎の中国人を首領に戴き、世界征服を目論む悪の秘密結社。様々な人物に完全に変…

『ピーター卿の遺体検分記』 D・L・セイヤーズ 論創社

●『ピーター卿の遺体検分記』 D・L・セイヤーズ 論創社 読了。 真相や推理の過程に対する興味よりも、物語世界の魅力で読み進めた。ピーター卿が事件を解決することに違いはないのだが、依頼された事件を名探偵が名推理で解決、といった態の作品ではない。…

『怪人と少年探偵』 江戸川乱歩 光文社文庫

●『怪人と少年探偵』 江戸川乱歩 光文社文庫 読了。 去年のうちから細切れに読んでいたものを、ようやく読み終えた。今日まで残っていたのが「超人二コラ」である。「猟奇の果」を下敷きにしたおかげか、ちょっとした不気味さが漂っていて悪くない。すくなく…

『正義の四人/ロンドン大包囲網』 E・ウォーレス

●『正義の四人/ロンドン大包囲網』 E・ウォーレス 長崎出版 読了。 信念に基づき大臣暗殺を目論む四人組。果たしてその計画は成功するのか。面白いというより、感心しながら読んだ。上手い。全く上手い。中だるみすることなく、四人組の前にきちんきちんと…

『霜月信二郎探偵小説選』 論創社

●一夜明ければ新玉の春でございます。本年もよろしくお願い申しあげます。 ●ホテルを八時にチェックアウトして、駅前のドトールでモーニングを喰って本を読む。 ●『霜月信二郎探偵小説選』 論創社 読了。 デビュー作「炎の結晶」が材料を詰め込みすぎて処理…