累風庵閑日録

本と日常の徒然

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:九冊読んだ本:十一冊 今月はもう一冊買う予定だったのだが、書店に行くタイミングがつかめなかった。

『タワーの下の子どもたち』 仁木悦子・大井三重子 論創社

●『タワーの下の子どもたち』 仁木悦子・大井三重子 論創社 読了。 仁木悦子少年小説コレクションの第三巻である。今回は大半が童話なので、読んで面白いかどうかとは別次元の本である。単行本未収録どころか未発表の作品まで収録されていて、そもそも読める…

『或る豪邸主の死』 J・J・コニントン 長崎出版

●『或る豪邸主の死』 J・J・コニントン 長崎出版 読了。 村の屋敷で起きた殺人事件に、治安判事サンダーステッド大佐が取り組む。ところがこの大佐殿、お世辞にも名探偵とはいい難い。関係者の中に自分の身内がいると分かると、真相解明よりも身内と自分と…

『クロームハウスの殺人』 G.D.H&M・コール 論創社

●『クロームハウスの殺人』 G.D.H&M・コール 論創社 読了。 探偵役の主人公はミステリに興味はあるものの探偵活動の経験はなく、論理的な推理もあまりお得意ではないようだ。とある人物を、人相が悪いという理由で最重要容疑者に据えたりする。犯人設…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第二十五回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二十五回として、第五巻から短編三作品を読んだ。訳者は全て和気律次郎である。「分解機」はチャレンジャー教授もので、教授の破天荒な造形が活かされている好編。十ページほどの分量を切れ味で読ませる。…

第十回オンライン横溝正史読書会『支那扇の女』

●第十回オンライン横溝正史読書会を開催した。課題図書は『支那扇の女』。昭和三十五年に単行本として刊行された作品である。併せて原形となった同題短編と、さらにその祖型である短編『ペルシャ猫を抱く女』も対象とする。 参加者は私を含めて十人。会では…

『支那扇の女』 横溝正史 角川文庫

●『支那扇の女』 横溝正史 角川文庫 読了。 明日開催される、オンライン横溝正史読書会の課題図書である。対象は表題作だけなのだが、一冊の本として通読するために同時収録の「女の決闘」も読んだ。どうもこれはあっけなくて、あまり高い点数は差し上げられ…

『シャーロック・ホームズの挨拶』 長沼弘毅 文藝春秋

●『シャーロック・ホームズの挨拶』 長沼弘毅 文藝春秋 読了。 残念ながら、今回はあまり興味を惹かれない題材が多かった。読んだと称するのが申し訳ないほど、目が活字の上を滑ってゆくばかりであった。第四章「ベイカー・ストリートの部屋を覗く」で提示さ…

『相良一平捕物帳』 森達二郎 春陽文庫

●『相良一平捕物帳』 森達二郎 春陽文庫 読了。 事前情報一切なしに手に取ったので、この作家がどういう人物なのかは知らん。読んだ感じでは、なかなか手慣れていてそつのない書きっぷりである。刊行は昭和四十八年。 主人公相良一平はきりりとした男前の同…

『心地よく秘密めいた場所』 E・クイーン ポケミス

●『心地よく秘密めいた場所』 E・クイーン ポケミス 読了。 クイーンは最後までクイーンであった。数字の九への執拗なこだわりも、人間関係を制限する奇妙な条件も、動かされた机という題材も、探偵クイーンと手掛かりとの関係も、どれもこれもどこかで読ん…

『犯罪都市』 川本三郎編 平凡社

●『犯罪都市』 川本三郎編 平凡社 読了。 「モダン都市文学」の第七巻である。近代になって成立した、従来の村落共同体とは異なる都市空間における犯罪をテーマにしたアンソロジーである。本書の大きな意味は、横溝正史が参加したリレー小説「諏訪未亡人」お…

『デイヴィッドスン事件』 J・ロード 論創社

●『デイヴィッドスン事件』 J・ロード 論創社 読了。 犯人の真の目的が(伏字)だということは、割と早い段階で想像できた。それに気づくと、全体のおおまかな構造が浮かんでくる。したがって興味の焦点は真相の意外性にではなく、具体的な犯行の段取りにあ…

『マッド・サイエンティスト』 S・D・シフ編 創元推理文庫

●『マッド・サイエンティスト』 S・D・シフ編 創元推理文庫 読了。 題名の通り、サイエンスにのめり込んで一線を踏み越えた者達をテーマにしたアンソロジーである。三十年以上昔に読んで以来の再読で、よほど印象に残った作品以外はきれいさっぱり忘れてい…

『サンセット77』 R・ハギンズ ポケミス

●『サンセット77』 R・ハギンズ ポケミス 読了。 私立探偵スチュアート・ベイリーが主人公の中編が三編収録されている。詳しくは知らんが、もとはテレビドラマらしい。とはいっても、本書はノベライズではないそうな。 第一話「死は雲雀に乗って」がなか…