2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧
●今月の総括。買った本:二十六冊読んだ本:十二冊 今月は、できるだけ本を買わないという制約を取っ払った。それでも、毎月何十冊と買う本好きの方々に比べたら買ってないのと同じである。買いたいだけ本を買ったおかげか、読む方も快調であった。
●『金田一耕助の冒険』 横溝正史 角川文庫 読了。 メモを取りながら、四日間かけてゆっくりと読んだ。そうやって取り組むといろいろ気付く点がある。「霧の中の女」の根底にあるのは、それ以前に書かれた金田一ものの長編「(伏字)」ではないのか。「鏡の中…
●来月末に、Xのスペース機能を使った配信企画を予定している。題して「『金田一耕助の冒険』をネタバレで語ろう」だ。四人の担当者が角川文庫からそれぞれ一編を選び、ネタバレで語る企画である。そのための準備として、今日から件の課題図書を読み始めた。…
●『葵の影法師』 東映京都撮影所 読了。 山田風太郎「江戸忍法帖」を原作とした脚本である。「準備用」としてある。前将軍のご落胤で主人公の足柄悠太郎と、権力の座を求めて陰謀を企む柳沢吉保との闘争を描く。吉保が差し向けた、奇怪な忍法を使う甲賀九人…
●『ハートの4』 E・クイーン ハヤカワ文庫 読了。 メロドラマ色が強く、中盤までなかなか物語に乗れなかった。殺人が起きて捜査が進められるようになるとじわじわと面白くなるが、なおもちょちょい挟まれる惚れたハレたのせいで冷静になる。とはいうものの…
●『十蘭万華鏡』 久生十蘭 河出文庫 読了。 流麗な文章が、読んでいて気持ちいい。「大竜巻」の、竜巻内部に蠢く雲の迫力。「天国の登り口」の、落下傘降下の緊張感。「一の倉沢」の、岩登りのぎりぎりのスリル。そういった、もちろん経験したことがない事柄なのに…
●『英文学の地下水脈』 小森健太朗 東京創元社 読了。 ハワード・ヘイクラフトらの評論にある、ドイル以前の米英ミステリ史の見取り図と、黒岩涙香が翻案の原作とした作品群から見えてくる鳥観図とでは、大きな乖離がある。本書は、今ではほとんど忘れられミ…
●『黄金仮面』 江戸川乱歩 創元推理文庫 読了。 今度の週末に、ミステリ専門劇団回路Rさんの朗読劇「黄金仮面」が上演される。そのための予習として、たぶん三度目くらいの再読。冒頭からいきなりフルスピードで突っ走る展開が快調である。すっかり忘れてい…
●『死体が歩いた』 R・ウィンザー ポケミス 読了 濃霧の中で、車が立木に衝突する事故が発生した。ドライバーの死体は現場から離れた池の中で発見されたが、死因は溺死ではなく衝突のショックによる即死と判明した。つまり、意識がもうろうとしたドライバー…
●『乱歩殺人事件-「悪霊」ふたたび』 芦辺拓・江戸川乱歩 角川書店 読了。 乱歩の「悪霊」を精読して細かな記述まで拾い上げ、そこを土台として自由な想像と大量の創造とを積み重ね、錯綜しつつも一貫した物語を作り上げている。大変な力業である。さらにそ…
●『エッジウェア卿の死』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 エッジウェア卿が殺される直前、別居中の妻ジェーンが屋敷を訪れ、黙って立ち去っていた。動機の強さもあって、彼女が犯人であることはあまりにも明白。というのが、一番最初に提示される…
●『七人の刑事』 山前譲編 廣済堂ブルーブックス 読了。 「七人の名探偵シリーズ」の第一巻である。島田一男「部長刑事物語」や藤原審爾「復讐の論理」は、普段馴染みのないスタイルの新鮮さがあってつまらなくはなかったが、それ以上のコメントは無し。森村…
●『リトモア少年誘拐』 H・ウェイド 創元推理文庫 読了。 おっそろしく地味な作品である。誘拐サスペンスから始まって、やがて重点は犯人を追及する警察の捜査へと移ってゆく。主人公格の人物としてヴァイン主任警部がいるけれども、ずば抜けた名探偵ぶりを…
●『パニック・パーティー』 A・バークリー 原書房 読了。 クルーズ船のトラブルによって、絶海の孤島に置き去りにされた十五人の男女。船が戻ってくるのは二週間後。水や食料は豊富だが、無線機はない。事故のようだが実際は、裏にクルーズ主催者のとある企…