●朝の新幹線で西へ突っ走り、米原ですぐさま在来線に乗り換えて一駅、彦根に降り立つ。駅から歩いて十分ほど、国宝の彦根城にたどり着く。天守閣の最上階から眺めると、城内に繁る濃い緑の向こうに琵琶湖が薄青く横たわっている。城までの登り坂と城内の急階段を登って火照った体を、湖からの涼風が冷やしてくれる。大変に気分がよろしい。
●一番印象に残ったのが、彦根市役所に「彦根城を世界遺産にしよう」というスローガンが掲げられていたこと。国の宝と言われて満足せず、彦にゃんという抜群の集客力を持つコンテンツがあって満足せず、なおも新たなブランドを欲しがる。まっこと微笑ましい喃。
●昼飯は駅前の食堂で彦根丼とやらを誂える。近江牛のすじ肉と赤蒟蒻を塩タレの丼ものに仕立てた一品。一度喰えばもういい。
●彦根から在来線を乗り継いで岐阜へ、そこから名鉄に乗り換えてJRと併走し、やがて長良川を渡って犬山駅に至る。午後からはこれも国宝の犬山城を見物するのだ。観光案内所で地図をもらい、ぶらぶら歩く。途中の本町通りでは古い街並みを生かした観光振興に大分力を入れているようで、活気があって好ましい。埼玉の川越を連想した。
売店の生ビールに喉が鳴るが、ぐっと我慢してまずは城へ。最上階には回廊が設えられており、ぐるっと一回りできる。長良川を見下ろす眺めが大変に素晴らしく、気持ちいい。外に出られる分だけ、彦根城よりもこちらの方が気に入った。
●帰りに売店に引っかかって生ビールでも、と思いながら歩いたが、どうも観光値段でビールを飲むのがもったいなく思えてきて、そのまま今晩の宿まで歩いてしまう。チェックインして一眠りし、ポメラで今日の日記を書く。夕方になったから、外に飲みに行くとしようか。