●午前中はジム。午後はレンタルDVDを一本観てから、本を読む。『恐怖博物誌』 日影丈吉 出版芸術社 読了。
ふしぎ文学館シリーズの一冊である。短編集だが、怪奇幻想譚と理に落ちるミステリとが混在しており、今読んでいるのがどちらかなのか分からなくて腰の据わりが悪かった。今より多少なりとも精神が柔軟で感受性があった十年前か二十年前に読んでいれば、もっと自由に物語世界を楽しめたかもしれない。この本は二十年物の積ん読である。
「狐の鶏」が秀逸。村落共同体のじっとりと湿ったような閉塞感を背景にして描かれる、女房を殺す夢を見た主人公の恐怖と焦燥が、まさかこういう着地点に到達するとは。他には、箱の中身について読者に想像を強いる「東天紅」、じわじわと不気味さが高まってゆく「からす」、ばたついている犬の足音というフレーズの異常さが際立つ「犬の生活」辺りが面白かった。「王とのつきあい」のこの本には珍しい軽味と、ありがちではあるがそうきたか、という落ちもなかなか。
●昨日作った鍋一杯の肉じゃがを、朝と晩とで喰い尽くす。〆は煮汁に飯をぶち込んでおじやに仕立てる。