累風庵閑日録

本と日常の徒然

『U路線の定期乗客』 C・アヴリーヌ 創元推理文庫

●『U路線の定期乗客』 C・アヴリーヌ 創元推理文庫 読了。

惜しい。実に惜しい。内容はつまらなくないのに、訳文がどうにもこうにもぎこちない。この文章で五百ページは長すぎる。読み進めるのになかなかしんどい思いをした。

冒頭起きる殺人事件の犯人探しがメインの物語かと思ったらそうではない。たちまち次の事件が起こり、謎の犯罪組織による営利誘拐の物語になる。メインの謎は、組織の首領は誰か?というもの。展開は警察の地道な捜査を描いて堅実、真相はミステリらしい外連味があって面白い。主人公の探偵役ブロ警部長とは別に、素人探偵コレ夫人が活躍するのも楽しい。が、もう一度書くが訳文がどうにもこうにも。

新訳で再刊、というよりどうせならブロ警部長のシリーズ全五冊が新訳で刊行されたら買うけどな。

●時間にも気持にもゆとりがあるので、鰯の酢〆を作ってみた。刺身用の開き鰯に塩をして三十分ほど放置、塩を洗ってから酢に漬け込む。醤油で喰ってみると、初めてにしては悪くない出来栄えであった。だが、漬け汁に砂糖を加えるだの、薬味に山葵か生姜を添えるだの、もう少し工夫検討の余地はありそうだ。こいつで酒をきゅうっとやったらさぞかし旨かろうと思うが、今日は飲んではいけない日である。いつか酒の肴として作ってやろうと思う。