累風庵閑日録

本と日常の徒然

東洋文庫ミュージアム

●午前中は野暮用。

●以前さる筋から、駒込にある東洋文庫ミュージアムの無料招待券をいただいていた。なんじゃかんじゃと差障りがあってなかなか行けなかったのだが、ようやく今日になって機会を得たので、午後から行ってきた。

岩崎コレクションのモリソン書庫の展示が素晴らしい。部屋の三方の壁が階段状に三段になっており、それぞれの段に本棚がずらりと並び、東西の古典籍が全て背表紙を見せてぎっしり詰まっている。本好き人間が夜の夢に見る悦楽の園である。……そんな夢は見たことないけど。

国宝の漢書「毛詩」や百万塔陀羅尼、さらには十五世紀末に熊本県天草で印刷されたキリスト教関連書物「キリシタン版」など、貴重な書物が展示されている。浮世絵コレクションでは初期菱川師宣の単色絵から全盛期の錦絵まで、保存状態の良い初刷りを含めて多彩な展示が目を楽しませてくれる。浮世絵といえばもちろん、春画もあるでよ♪ そのあっけらかんとしておおらかな表現はまことに微笑ましい。 < 浮世絵展示室は十八歳未満入室お断りである。

●ついでに、近くにあった六義園も訪れた。柳沢吉保が築園した回遊式大名庭園である。紀州の情景を見立てに用い、和歌の六種のスタイルを名に取った庭園は、和漢の古典を踏まえて極めて洗練された空間となっている。ボランティアガイドのおじさんについて回って説明を聴いたのは有意義だったが、蚊に刺されまくったのには閉口した。

●本は論創海外の続き。中盤になって物語が急展開して、俄然面白くなった。面白いは面白いが文章がとにかく読み辛く、一気に読むことはできない。

●今回東洋文庫ミュージアムに行ったわけだが、その他にも魅力的な展示会が関東で多数開催されている。そのすべてに行けるかどうかわからないが、ここで自分のための心覚えとして整理しておく。

宗像大社国宝展@出光美術館 ~10/13
・名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち@根津美術館 ~11/3
ボストン美術館浮世絵名品展 北斎上野の森美術館 ~11/9
・没後150年記念 歌川国貞@太田記念美術館 10/1~
東山御物の美―足利将軍家の至宝―@三井記念美術館 10/4~
高野山の名宝@サントリー美術館 10/11~
・日本国宝展@東京国立博物館 10/15~
・柳澤吉保とその時代@川越市立博物館 10/18~

そうそう、忘れちゃいけないのが
妖華絢爛~横溝正史トリビュート@ビリケンギャラリー 10/18~
である。