累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ボルジヤ家罪悪史』 ヂューマ 平凡社

●『ボルジヤ家罪悪史』 ヂューマ 平凡社 読了。

なかなかにえげつない話であった。ローマ法王アレキサンダア六世またの名をロデリゴ・ボルヂアと、その息子シイザア・ボルヂア。この二人の後半生を描く物語である。彼らは己の欲するままにひたすら奪い、殺し、滅ぼす。誘拐し、毒殺し、軍隊を差し向けて攻め滅ぼす。騙し、裏切り、脅迫して、敵を滅ぼし資産家を滅ぼす。資産家は故なくして罪に問われ、投獄され密かに毒殺される。そして資産は法王庁の名のもとに没収されてアレキサンダアの所有となる。敵対勢力からの非難や攻撃は、巧みな弁舌と周到な計略で切り抜ける。都合が悪くなると部下や協力者に罪を押し付けて殺す。自己の利益のみを目指して突き進む彼らの行動は、ある意味天晴である。

ちなみに「シイザア」という訳語が採られている人物の表記は一般的には「チェーザレ」で、綴りはCesareである。

ところでこの本、文字表記に関してはかなりおおらかというか、いい加減なところがある。扉では「ボルジヤ」だが、本文では「ボルヂア」である。著者名も扉ではヂューマ、序文ではデュマ、中扉ではデュウマとなっている。