累風庵閑日録

本と日常の徒然

『「ロック」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●自分でもどうかと思うほど、床屋に行くのが面倒くさい。大概髪が伸びて鬱陶しくなっているにもかかわらず、あまりに面倒くさくて床屋に行くのを何日も先送りにしていた。今日になってようやく、意を決して行ってきた。……大げさなことである。

散髪が終わると、ああやれやれ、という気になる。今日のイベントをやりきった感がある。今日は午後からビリケンギャラリーで「横溝正史トリビュート」という展示会があるのを観に行くつもりだったが、なんだかどうも、東京まで出るのが億劫になってきた。

●というわけで午後にぽっかり時間が空いたので、今後のお惣菜のために切り干し大根を仕込むことにする。細切りの人参を胡麻油でゆっくり炒め、戻した切り干し大根と油揚げを合わせ、出汁と醤油と味醂で煮る。

●『「ロック」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。

戦後再出発した国内ミステリの、これが若さか。内容に比してページ数が足りないような作品が多い。三十ページそこそこで、手掛かりを散りばめて理詰めに順を追って真相を解き明かすミステリを書くのは難しいだろうと思う。実際の作品では、重要な証拠が解決場面でいきなりごろごろ出てきたり、犯人の性癖や心理を探偵がいきなり説明しだしたりする。

角田喜久雄「緑亭の首吊男」は、いかにもミステリめいた真相が嬉しい。薔薇小路棘麿「蛇と猪」は、舞台背景の閉鎖的な陰湿さとランプの石油の解析に読み応えあり。題名の意味は分からんが。水上幻一郎「火山観測所殺人事件」は、実にまじめに書いているようでその点には好感が持てるが、読んで面白いものではない。それに対して岡田鯱彦「噴火口上の殺人」は、まず読んで面白い。登場人物たちの言動が、読んでいるこちらが恥ずかしくなるような若さに満ちていてなんとも。真相もシンプルでなかなか。青池研吉「飛行する死人」は、謎の設定が魅力的で文体が面白くて読ませるが、解決が駆け足なのが残念。

●晩の肴は、まずは焼き味噌。刻み葱と鰹節と、出汁をちょっぴり、味噌に混ぜて練り、洗って乾かしておいた蒲鉾板に塗ってグリルで焼く。こいつで冷や酒。初めてやったが、予想以上に旨くて酒が進む。つるっと二合いってしまった。塩分過多で体にいいわきゃないのだが。

続いて今シーズン初の牡蠣鍋♪ 豆腐と蕪の葉と一緒に味噌仕立て。こいつはぬる燗で。牡蠣と味噌はやはり合う。蕪の本体は明日の朝の味噌汁の具にする。