累風庵閑日録

本と日常の徒然

『居酒屋の誕生』 飯野亮一 ちくま学芸文庫

●某書肆から刊行される鷲尾三郎を予約した。

●『居酒屋の誕生』 飯野亮一 ちくま学芸文庫 読了。

江戸の呑みだおれ文化、という副題が付いている。酒屋とも煮売屋とも異なる居酒屋という業態は、十八世紀中頃に現れる。発生当初は酒屋の副業といった位置付けであったが、やがて飲食業の一種として発展してゆく。その隆盛の様を豊富な図版とともに紹介した本。資料を引用してそのまま投げっ放すのではなく、きっちり意味を解説してくれて分かりやすい。内容は歴史的経緯だけではなく、関連トピックとして、飲まれていた酒の種類、政治との関わり、客層、肴の種類といった項目も広く取り上げられている。

無味乾燥な事実の羅列ではない、読んで面白い本である。そしてこの本、読んでいると猛烈に燗酒を飲みたくなって喉が鳴る。明日は土曜日、飲んでいい日である。明日の飲酒についてぐるぐる考える。アルコールは当然日本酒で決まり。肴は湯豆腐と、何か煮物でも作るとするか。あるいはおでんでも。

当時好まれていた肴で、から汁というのがあるらしい。おからを具にした味噌汁で、二日酔いを防ぐとされていた。一度試してみたい。びっくりするほど旨い物でもないだろうが、決して不味くはないだろう。油揚げの細切りなんかを加えればいい感じになりそう。

●長らく愛用している炊飯器の、内蓋のゴムパッキンが劣化して取れてしまった。買い直さなければならない。当の家電メーカー直営の付属部品通販サイトがあったが、何しろ古い製品なので検索しても型番がヒットしない。駄目もとで問い合わせのメールを差し上げた。

するとメーカーのお客様相談室から回答。対象製品はとっくに生産中止で廃番になっており、ほとんどの付属部品は残っていないが、ゴムパッキンは多少の在庫があるという。回答メールへの返信で直接注文すれば送ってやるとおっしゃる。早速注文すると、週明けには発送するというレスポンスが返ってきた。ありがたや。

対応が素早くてきちんとしていて、素晴らしい。次に炊飯器を買うときも、このメーカーの製品にしようと決めた。かくして、ちょっとしたことで容易く籠絡されてしまうのであった。