●夜中に何度か意識が戻ると、その度に列車が止まっている。これは大方何かのトラブルで、遅れが発生しているな。と思ったけれど、別に急ぐ用事はないのでありのままに事態を受け止めることにする。
東京着の一時間前に設定しておいたアラームが鳴ったので起きたはいいが、ここがどこだか分からない。やがて朝の車内放送が始まり、人身事故やその他のトラブルで二時間以上遅れていることが判明する。この時刻なら本来は、熱海と横浜との間を走っているはずなのに、まだ静岡に到着していないのだそうな。じたばたしてもどうしようもないので、自分の個室でただじっとしている。
結局、JRの規定によって特急料金三千円少々が払戻になった。急いでいる人間にとってはけしからん事態かも知らんが、私にとってはラッキーである。
●今日は文学フリマが開催されるので、行こうと思う。ただし土曜からのイベントで疲れているので、いったん帰宅してシャワーと仮眠で体力を回復してから、ゆっくり会場に向かうことにする。……というのが昨晩考えたプランであった。ところが列車が遅れたおかげで東京着が中途半端な時刻になり、帰宅の機を逸してしまった。東京駅地下街で一時間半ほど時間をつぶしてから、文フリ会場に直行する。
●知り合いの出品者にご挨拶して、ぜひまた少人数横溝飲み会をやりましょう、と話をする。そして、そもそも文フリに行く目的だった『新青年』研究会さん発行の『『新青年』趣味 XV』を購入して満足する。他にも何か面白そうな物はないかと会場をうろうろすると、通路の左右にずらりと並んだサークルさんから盛んにアピールの声を浴びせられる。旅の疲れのせいか、その声がやけにしんどく感じられてしまったので、何も買わず早々に会場を立ち去る。
●帰宅して荷物を整理して、仮眠。ようやくイベントが完了した。この三日間は大変楽しく充実した時間であった。『迷路荘の惨劇』は全然読めてない。読書以外の楽しいことが多過ぎたのである。