累風庵閑日録

本と日常の徒然

『シャーロック・ホームズ 七つの挑戦』 E・ソルト 国書刊行会

●結局、忙しさを一週間引きずってしまった……
プライベートの生命活動が乏しい一週間であった。

●『シャーロック・ホームズ 七つの挑戦』 E・ソルト 国書刊行会 読了

既刊のシリーズ短編集五冊から、訳者が七編を選んで一冊に構成した本。ということは、収録作には訳者の嗜好なり選択眼なりが反映されていることになる。もしかしたら編集者の意向も加わっているかもしれない。

ところで原典であるホームズ譚では、事件の真相はいくつかのタイプに分類できる。そのなかで、どうも好みではなくて苦手なのが国際スパイネタと、モリアーティ教授ネタを含む犯罪組織ネタである。

で、この本には、上記二つのネタがやたらに多いのである。読んでいてまたかよ、と思ってしまった。本来の短編集では、どういった作品構成になっているのだろう。目の前のこの本は、どういった意図や方針で編まれたものなのか。

内容に関して。ホームズパスティシュにはよくあることだが、原典にはない現代的な視点があるし、ちょいちょい現実世界との関連付けをやりたがる。昔、まだ幼くて悪い意味で潔癖だった頃は、たぶんそんな要素は減点対象になっただろう。いまではそういう特徴は、パスティーシュの味わいだと思うようになっている。