累風庵閑日録

本と日常の徒然

『雲をつかむ死』 A・クリスティー クリスティー文庫

●午前中は野暮用。

●『雲をつかむ死』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。

安心して読める秀作。黄蜂や二本のスプーンといった小道具が楽しいし、心理的瞬間という視点にはわくわくする。殺人手段はまるで(伏字)で、私の好みに直撃。ポアロが捜査を重ねてゆく過程は、ミステリでよくある、延々続く容疑者への尋問シーンなんかよりもよほど変化があって楽しい。

以下は余談。この作品は、今を去ること三十年以上前、中学校の図書館であかね書房の少年少女世界推理文学全集第七巻『ABC殺人事件』を借りて読んだことがある。内容はさっぱり忘却の彼方で、今回大人向けの訳で再読したのが初読も同然であった。ところが実際は、かすかな印象が記憶の底に残っていたらしい。そのせいかどうか、ポアロが犯人に気付くきっかけとなった関係者の持ち物リストのなかで、どの品物がキモなのか気付いてしまった。その所持者が真犯人である。だからどうしたってものでもないが。

今あらためてあかね書房の『ABC殺人事件』を確認すると、「恐怖の旅客機」という訳題だった。そしてなんと、巻末解説で本作品の犯人の名前がズバリ書いてあるではないか!なんだこりゃ。

●晩は肉。肉、肉。とにかく肉を喰いたかったので、ハンバーグを作った。ソースは思い付きで作ってみた、焼き肉のタレに大根おろしケチャップという代物。その効果はあまり感じられなかったけれど。アルコールは赤ワイン。