累風庵閑日録

本と日常の徒然

『黒衣の女』 S・ヒル ハヤカワ文庫

●角川横溝文庫のダブり本の在庫から、放出するものをピックアップする。ブックオフの値段ラベルを剥がすために、杉本カバーを外してスプレータイプの「ラベル剥がし」を吹きかける作業に取り掛かる。……というつもりが、なぜか「ラベル剥がし」のガスがすっかり抜けていた。ボタンを押してもちっとも液が出てこず、缶を振るとパチャパチャという音が虚しい。しょうがないので明日買ってくる。仕切り直しである。

●『黒衣の女』 S・ヒル ハヤカワ文庫 読了。

『ウーマン・イン・ブラック』という恐怖映画がある。以前読んだ『黒衣の女』が原作だという。この作品、読んだ時の印象すら覚えていないが、やけにクラシカルな作風だったような気がする。映画をいつか観てみたいので、実際にDVDをレンタルしてくる前に、まずは予習として原作本を再読する。

面白い。実にオーソドックスなゴースト・ストーリーである。古びた屋敷にまつわる亡霊の恐怖とその因縁が、ケレンもなく捻りもなくじんわりと語られ、徐々に恐怖を積み重ね、これまたオーソドックスな結末へと収束する。余計な改変を加えず原作に忠実に映像化すると、面白い恐怖映画になりそう。そして情景描写が美しい。描かれる情景もまた、きちんと映像化すると映えそう。さて、『ウーマン・イン・ブラック』を借りてこなきゃ。