累風庵閑日録

本と日常の徒然

『犯罪王モリアーティの復讐(上)(下)』 ガードナー 講談社文庫

●『犯罪王モリアーティの復讐(上)(下)』 ガードナー 講談社文庫 読了。

悪の組織の頂点に君臨するモリアーティ教授の活躍を描く犯罪小説。私の趣味から大きく外れていた。主人公である教授が完璧な悪の超人で、人間味がなく魅力に乏しい。そもそも、絶対権力者の言動を喜んで読む気にならない。

展開が淡々としていて、読んでいてしんどい。前作はまだ、複数のエピソードが同時並行で語られる複雑さに妙味があったが、今回はそういう特徴も控えめである。上下巻で四百ページほどなので大長編という訳ではないが、体感としては大変に長い。まだ終わらんのか、と何度も思った。