●『戯曲アルセーヌ・ルパン』 M・ルブラン 論創社 読了。
ルパンシリーズってほとんど読んだことがなく、どういう面白さなのかいまいち分かっていない。そんな状態で読んだ本書は、悪くいえば他愛ない、よくいえばシンプルで軽快。なかなか面白かった。ルパンのキャラクターに人間味があるのもいい。ルパン研究サイト「怪盗ルパンの館」さんによれば、この内容はルパンシリーズのエッセンスを集約したある種典型的なものだそうな。これなら他のルパン作品も楽しめそうだ。
そして特筆すべきは巻末の解説である。研究論文ともいえるその内容は極めて充実。著者のルパンへの愛と長年の蓄積とが、門外漢の私にすらひしひしと伝わってくる大変な労作である。素晴らしい。