しばらく中断していたのを、ようやく読んだ。ところで、本には読むのにふさわしいタイミングがある。この本は刊行当時の十四年前にさっさと読んでおくべきであった。そうしていたら、もう少し楽しめたであろう。
十四年経てば十四年分だけ、読み手の感受性は摩耗し、精神は老化する。今回小栗虫太郎をまとめて読んで、どこが面白いのかよく分からなかった。小栗ミステリの破天荒さを、私自身の”面白がりアンテナ”が受信できなくなっているのだ。解決部分の奇天烈さを楽しめない。ということはつまり、行き着く先にお楽しみがないと分かっていながら読み進めるわけで。そんな読書はしんどい。ただ読んだだけ、である。
●「光文社文庫の『金田一耕助の新冒険』を一年かけて読む」プロジェクト。今回のお題は「死神の矢」である。原型短編ではよくあることだが、この作品も事件の真相と解決場面と、どちらも荒っぽい。改稿版でどのように膨らませてあるのか、楽しみである。
●夜は前の勤務先の同僚との定例飲み会。今日はなんと、同じくかつての同僚二人が参加して、総勢四人となった。彼らとは二十年ほどの付き合いなので、懐旧譚に花が咲く。そうなのだ。今となっては、未来よりも過去の方に目が向いてしまうのである。
●見当たらなかった確定申告用の必要書類がようやく見つかった。やれやれ。安心したので、今日はもう実作業はしない。