●『シャーロック・ホームズの栄冠』 北原尚彦編訳 論創社 読了。
ホームズ・パスティシュ集である。収録作の大半が十ページ前後の小品で、込み入ったストーリーなど書けるはずもなく。有名な作家の珍品がいろいろ読めるのが嬉しい、という本。だが、いくつかの作品は内容そのものを楽しめた。面白かった作品をコメントなしで挙げておくと、「一等車の秘密」、「第二の収穫」、ステイトリー・ホームズシリーズ三編、「疲労した船長の事件」、「小惑星の力学」、「シャーロック・ホームズなんか恐くない」くらい。バークリーの「ボー・ピープのヒツジ失踪事件」は、マザーグースをホームズ譚に仕立てるというアイデアに感心した。注釈と解説が懇切丁寧なのも嬉しい。
●今月は例年に比べ速いペースで本を読み続けてきて、ちっとばかしフィクションに食傷してきた。月末までの残り四日間は、何かノンフィクションを少しずつ読むか、いっそ読書を休む日にしてもいい。