累風庵閑日録

本と日常の徒然

吸血蛾

神保町シアターで「吸血蛾」を観た。面白かった。想像以上に原作に沿った脚本で、大変感心した。省かれた要素がいくつかあるが、ただ削っただけではない。ストーリーに改変を加えてコンパクトにまとめてみせる、その匙加減が絶妙なのである。

逆に追加された要素としては、原作でまったく精彩がなかった金田一耕助のために、それなりの見せ場が用意されている。スリラー映画に付き物のアクションシーンもある。この展開ならば確かに、着物に袴ではなくスーツ姿の方が相応しかろう。最後に、作り手の意図ではないはずだが、狼男のメイクがいかにもチープなのが楽しい。観てよかった。

●ところで、神保町シアターに行くのは初めてで様子が分からない。どのくらい人が来るのか読めなかったので、チケット発売が十時からのところを九時半に現地に行ってみた。そうすると、他に誰もいないんでやんの。いくらなんでも早すぎるし、この寒空の下で三十分も立っているのはしんどい。近くのコーヒーショップに避難して時間をつぶし、五十分頃戻ったら先客が四人ほど並んでいた。

●午後からは横溝系の散歩オフ。総勢十人で、歩いてお茶して酒飲んで。世田谷エリアを初めて歩くが、高級車が停まっている広いお屋敷がそこらじゅうにあって、金持ちオーラが出まくっている街であった。