●『ハーレー街の死』 J・ロード 論創社 読了。
びっくりするくらい地味である。クロフツのような、新たな事実がひとつひとつ判明してゆく堅実な地味さではない。冒頭の二つの章で語られた内容をひたすら再確認するだけで、何一つ新しい情報が出てこない状況が長い間続く地味さである。つまり、正直言って退屈であった。だが、結末で提示された真相には感心した。似た趣向は、アイリッシュの短編にもあるね。
ところで、この作家の訳書はすべて入手したつもりになっていたが、なんと『吸殻とパナマ帽』は持ってなかった! この作品の評判は悪いようだが、実際に読んでみないとどのくらいつまらないか分からない。読んでみたいので、これは探さなきゃ。