累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』 W・ブリテン 論創社

●『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』 W・ブリテン 論創社 読了。

打率の高い良質の短編集。題名と内容とがちゃんと結びついているという点で、表題作と、「エラリー・クイーンを読んだ男」、そして「ジョルジュ・シムノンを読んだ男」が秀逸。

ダシール・ハメットを読んだ男」は、ミステリへの愛情が溢れんばかりで、読んでいて嬉しくなる。「レックス・スタウトを読んだ女」を読むと、久しぶりにネロ・ウルフシリーズを読みたくなる。「うそつき」で描かれる犯罪のアイデアも面白い。言葉遊びめいた趣向はあまり好みではないが、そういうタイプの作品では例外的に、「コナン・ドイルを読んだ男」の切れ味は買う。