「光文社文庫の『金田一耕助の新冒険』を一年かけて読む」プロジェクト。今回はまず、「魔女の暦」を読む。ところがこの作品、過去の記録を調べてみると、なんと九年前にすでに読み比べをしていたのであった。そのときは改稿版の長編はもちろん、そもそもの原型である人形佐七版「山吹薬師」、さらには「山吹薬師」を映画化したときのシナリオ「鮮血の乳房」まで読み比べている。特に佐七版から金田一版への改稿に大いに感心したことを思い出す。という訳で、今回は原型短編の再読だけで済ますことにする。何度も読んでいるので、内容については特にコメントはなし。
続いて「ハートのクイン」である。前半、彫亀の奇妙な体験を語る部分はやけに力が入っている。この辺り、捕物帳に仕立てても何の違和感もなさそうだが、関連する佐七作品はないらしい。後半、事件が起きてからは内容に比べて少々ページが足りないようである。片瀬の別荘の滞在客として六人も設定しているのに、その大半はただ名前だけだし。そして解決は相変わらず駆け足である。
これで光文社文庫は読み終えたが、プロジェクトはまだ完結しない。次は「ハートのクイン」の改稿版長編、角川文庫の『スペードの女王』を読むことにする。
●先日、横溝正史の「病院横町の首縊りの家」を読んで、横溝文献に関する宿題を一つ思いついた。「病院~」と同様、一度中絶した後に長編として完成した作品に「仮面舞踏会」がある。そいつの中絶版テキストを入手しようというのだ。
ところが今回、上記の「魔女の暦」の件で過去の日記を読み返していると、なんとすでに中絶版「仮面舞踏会」を入手していたことが分かった。あららら。
あとでちゃんと読む。