累風庵閑日録

本と日常の徒然

『スペードの女王』 横溝正史 角川文庫

●『スペードの女王』 横溝正史 角川文庫 読了。

再読だが、当然のように内容も犯人も覚えちゃいない。前田浜子の扱いが、原型短編よりもずっと自然になっている。相変わらず別荘の六人の大半は名前だけの存在で、これはどうもいまいち。相変わらず金田一耕助の解決は物証に乏しいが、これがこの探偵の手法だと思うしかない。終盤、(伏字)る展開は嬉しい驚きであった。こういう展開は、まさしくミステリの面白さである。また、先に原型短編を読んでこその面白さでもある。

●かくして、「光文社文庫の『金田一耕助の新冒険』を一年かけて読む」プロジェクトが、無事完結したのであった。一年と言いつつ、半年も経たずに完結である。予想よりもはるかに順調に読み進めることができて、嬉しい。単独で読めばあれれ……と思う長編も、原型短編と読み比べることで正史の工夫の跡がよく分かり、ぐっと面白味が増す。とても楽しく充実したプロジェクトであった。

●来月以降も、月に一冊くらいは横溝本を読んでいきたいが、実際どうなるかは分からない。