●『男性週期律』 山田風太郎 光文社文庫 読了。
山田風太郎ミステリー傑作選第七巻である。収録作は総じて、綺譚、という他はない。「色魔」は破天荒ではあるもののミステリの構造を備えていて、一番素直に楽しめた。収録作中そのナンセンスが最も際立っていたのが「陰茎人」。これはもう、どうにもこうにも。「男性滅亡」はそのハチャメチャ具合に筒井康隆を連想した。「ウサスラーマの錠」と「満員島」とで日本の人口爆発が題材なのは、現代と引き比べてなんかもう、茫然とするものがある。
それにしても山田風太郎は濃い。ミステリー傑作選の第八巻を手に取るのは、当分先でいい。