●『813』 M・ルブラン 新潮文庫 読了。
ルパンシリーズはほとんど読んだことがないのだが、なるほどこんなに面白かったのか。長く読み継がれているだけのことはある。冷酷な殺人事件と謎の大計画。ルパンと警察と殺人鬼との三つ巴の闘争。面白くなる要素がみっしり詰まっている。小学生の頃に出会っていたら、ハマっていたかもしれない。メインの大ネタは、以前どこかでネタバレを喰らって知っていたのが残念。全編に漂う、どこか長閑でお上品な雰囲気は、いかにもクラシカルな娯楽小説である。もう少々俗っぽくして、大仰な文章で煽情性と変態性とを加味したら、それがすなわち乱歩の通俗長編の味わいになりそう。
で、直ちに『続813』に取り掛かる。