累風庵閑日録

本と日常の徒然

冥途のみやげ

●東京藝大美術館に、「うらめしや~、冥途のみやげ」展と題する、幽霊画の展示を観に行ってきた。伝丸山応挙の絵を観れたのがよかった。

 鈴木誠一の「雪女図」が面白い。微妙な濃淡だけでなんとはなし人型のようなものを朧に描き、空に舞う雪片に見紛うような白班で目や口を暗示している。能面の「生成」も面白い。負の感情が高じて鬼と変じる、その途中の半人半鬼の相貌を形にして異様な迫力である。

 今回の展示は谷中全生庵のコレクションが中心になっているそうな。ならば今開催されている「谷中圓朝まつり」では、全生庵の展示はどうなっているのだろう。疑問に思ったので直接問い合わせてみた。

 展示品は、藝大美術館の前期後期の展示替えに合わせて総入れ替えするのだという。つまり、今なら藝大で後期に展示されるはずの絵が鑑賞できる。この話を聞いて、全生庵にも行きたくなった。