●神保町横溝倶楽部の同人誌『金田一耕助自由研究 Vol.3』を読む。興味深かったのは、かじゃま氏の「『犬神家の一族』~推敲時と雑誌連載・現行版での加筆修正について~」と、木魚庵氏の「「聾唖者口をきくの辯」について」であった。やっぱ改稿ネタにはアンテナが反応する。
●『八一三号車室にて』 A・ポージス 論創社 読了。
粒揃いの傑作短編集。捻りと切れ味、奇天烈なトリック、魅力的な探偵、凝縮されたサスペンス、といった要素がそれぞれの作品に詰め込まれており、駄作がない。個別の作品名は挙げないが、それぞれ面白かった。一編だけ、最も気に入ったのが「ひとり遊び」である。数十年の人生の、一瞬の切り口を描いて無残。