●『ミステリの女王の冒険』 E・クイーン原案 論創社 読了。
「黄金のこま犬の冒険」が一番面白かった。解決部分で、ある小道具の位置付けがそれまで見えていたものからがらりと変わってしまうのは、これぞミステリ!と思う。「奇妙なお茶会の冒険」は、犯人限定の筋道は上出来だけれども、物語の奇妙さを担う趣向が(伏字)だった、というのがあまり感心しない。だが、巻末の解説で読み処を教えてもらってようやく、全体としての出来栄えに満足した。「奇妙な~」に限らず、この本の巻末解説は各編の勘所をいちいち丁寧に教えてくれて、素晴らしい。これぞまさしく「解説」である。
ところでこの本、異常なまでに読むのに疲れたのだが。ラジオ台本と違って映像化のための文章なので、頭の中で映像を思い浮かべる作業が非常に多く、そのせいで疲れるようだ。登場人物達が何かやる度にト書きで情景描写が入るので、その疲れは小説よりも甚だしい。
●ブックオフで、角川文庫の横溝正史、杉本カバーバージョンを十七冊暴れ買い。自分のために状態のいい本を買ったのと、年末の横溝系忘年会で布教用に放出するダブり本である。この店はちょいちょい杉本カバーを補充してくれるので、定期的に覗くことにしている。